1999 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族性指数の異なる溶媒を用いた石炭モデル物質の水素化分解反応生成物の検討
Project/Area Number |
10650767
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 博徳 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70001287)
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Keywords | 水素化分解反応 / 芳香族性指数 / ナフタレン / デカリン / テトラリン / ベンジルフェニルエーテル / ベンジルテトラリン / ベンジルナフタレン |
Research Abstract |
オートクレーブを用い、ベンジルフェニルエーテルを試料として、合成硫化鉄触媒、2還系の溶媒(デカリン、テトラリン、ナフタレン)を単独、または混合して用い、水素初圧3MPaとして673〜748Kに30min保持した。反応後液状生成物はアセトンで希釈して、メンブランフィルターにて触媒を除いた後、GS/MSとGCによって生成物の同定と定量を行った。いずれの反応においても、ベンジルフェニールエーテルの転化率は100%であった。デカリン単独溶媒を用いた反応において、分解生成物(トルエン、フェノールと微量のベンゼン)が最も多く生成した。テトラリン、ナフタレンの単独溶媒を用いた反応では、分解ラジカルのベンジル基が溶媒と反応したベンジルテトラリン、ベンジルナフタレンを生成して、分解生成物生成量を減少させた。デカリン/ナフタレン、デカリン/テトラリンの混合割合を変えて、同じ芳香族指数fa(全炭素数に対する芳香族炭素数の割合)の溶媒を用いた反応では、分解性生物の収率にはそれほど大きな差は認められないが、デカリン/ナフタレン混合溶媒系の反応において、デカリン/テトラリン混合系溶媒による反応よりも、分解生成物が若干多く生成する傾向が認められた。しかし、単独溶媒の場合よりも混合溶媒を用いる反応において、分解生成物を多く生成する芳香族性指数の値があることが認められた。今後はこの点について、反応前後の溶媒組成変化による、溶媒の質(例えば供与性水素量など)を考慮した研究が必要である。
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