1998 Fiscal Year Annual Research Report
弱酸カリ/活性炭系及び関連触媒による炭酸ジメチル合成の研究
Project/Area Number |
10650771
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
林 弘 徳島大学, 工学部, 教授 (00035627)
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Keywords | 炭酸ジメチル / 炭酸エレチン / メタノール / トランス・エチエル化 / 炭酸カリ / リン酸カリ / イオン交換樹脂 |
Research Abstract |
炭酸ジメチル(DMC)は、猛毒のホスゲン代替試薬、携帯電話やパソコンなどに普及の著しい4V級リチウム・イオン二次電池の溶媒応用、ルーム・エアコン用の非ハロゲン冷凍機油、潤滑油のほか、MTBEとともに含酸素系オクタン・ブースター、すなわちガソリンまたは軽油の燃焼性向上のための助剤として大量消費が見込まれており、新しいプロセスの開発が望まれている。本年度は、塩基触媒による炭酸エチレン-メタノール系のトランスエステル化の実験研究を行なった。この反応は、炭酸エチレンが酸化エチレンとCO_2から安価に得られる点で注目され、マグネシアやハイドロタルサイトのような固体塩基が有効であるが、微量の水分で基質が分解し、発生CO_2によって触媒が失活する。そのため、特許例には触媒の高温焼成や原料の含水率を厳しく指定したものが多い。本研究では、炭酸またはこれより僅かに強い酸のカリウム塩、すなわち炭酸カリ、リン酸二水素カリウム、酢酸カリおよび関連触媒について比較活性試験を行なった。市販のマグネシアは、そのままでは殆んど活性を示さないが、500℃で焼成すると活性発現が見られる。CO_2の存在でも塩基性を示す炭酸カリは微量で高活性を示し、すみやかに平衡値に達した。この値から見かけの平衡定数を求め、系に少量の水を加えたときの平衡変化率を計算したところ、実測値とよく一致した。基質の炭酸エチレンが水と反応して分解し、CO_2が発生してエチレングリコールが増加するが、活性は低下しない。カルボン酸は炭酸にくらべてかなり強いので、酢酸カリや弱酸性イオン交換樹脂のアルカリ処理体は、塩基触媒としてはあまり活性ではないことがわかった。リン酸カリは、アルコールに不溶または難溶で、塩基強度も適当であり、すぐれた性能を示した。
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