1998 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌性紫色素生産のための低温菌の分離と生化学的検討に基づく工業化の研究
Project/Area Number |
10650780
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 嘉利 金沢大学, 工学部, 助教授 (20172455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 史尚 金沢大学, 工学部, 助手 (60293370)
民谷 栄一 北陸先端科学技術大学院大学, 教授 (60179893)
沢田 達郎 金沢大学, 工学部, 教授 (80019728)
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Keywords | 紫色素 / 低温細菌 / 抗菌活性 / 腐敗細菌 / 天然色素 |
Research Abstract |
雑菌汚染の防止技術として酸やアルカリの添加や加熱減菌の研究が国内外の多くの研究者によって報告されてきたが、それらは食品の鮮度や品質を低下させる欠点を持っていた。低温細菌の生産する抗菌性色素は低温下でも抗菌力を持ち、食品の品質を低下させないので、長期冷蔵保存のための添加剤として利用可能と思われる。また、天然色素は合成色素と比較して高生分解性であり毒性も小さいことから、環境だけでなく人体に対しても穏やかに作用すると期待される。著者らは抗菌活性物質を生産する低温細菌のスクリーニングを行い、ニジマスの腸内から紫色素を生産する低温細菌RT102株を分離した。本研究では、低温細菌RT102株を同定後、紫色素の化学構造をNMRとMSスペクトルを用いて決定した。次に、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、Janthinobacterium lividumなどの腐敗細菌の増殖阻害および死滅に及ぼす紫色素濃度の影響を明らかにし、紫色素の抗菌剤としての評価を行った。低温細菌RT102株はPseudomonadaceaeに属する新種の微生物であり、抗菌性の紫色素を生産した。紫色素はビオラセインとデオキシビオラセインの混合物から成り、種々の腐敗細菌に対して抗菌活性を示した。高濃度の紫色素は菌の増殖を阻害するだけでなく、菌の死滅を引き起こしたので、紫色素の殺菌剤としての利用が示唆された。今後の研究は低温細菌の紫色素を合成する代謝経路を明らかにすることと、紫色素を大量生産するための培養装置と操作方法の確立である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura,Y.,F.Kobayashi,M.Ohnaga and T.Sawada: "Alcohol Fermentation of Starch by a Genetic Recombinant Yeast Having Glucoamylase Activity" Biotechnology and Bioengineering. 53. 21-25 (1997)
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[Publications] Nakamura,Y.,T.Sawada,M.Godliving and M.Kuwahara: "Lignin Peroxidase Production by Phanerochaete chrysosporium Immobilized on Polyuretane Foam" Journal of Chemical Engineering of Japan. 30. 1-6 (1997)
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[Publications] Nakamura,Y.,T.Sawada,F.Kobayashi and M.Godliving: "Microbial Treatment of Kraft Pulp Wastewater Pretreatment with Ozone" Water Science and Technology. 35. 277-282 (1997)
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[Publications] 沢田達郎,中村嘉利,折笠仁志,大永 誠,井上英一: "汚染物の無発生を目指した稲わらの前処理と構成成分の有用資源化" 環境科学会誌. 10. 313-322 (1997)
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[Publications] 中村嘉利,沢田達郎,中本義章: "爆砕リグニンからの樹脂の合成に関する基礎的研究" ネットワークポリマー. 19. 148-155 (1998)
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[Publications] Kobayashi,F.,T.Sawada,Y.Nakamura and T.Ushiyama: "Saccharification and Alcohol Fermentation in Starch Solution of Steam-Exploded Potato" Applied Biochemistry and Bioengineering. 69. 43-55 (1998)