1999 Fiscal Year Annual Research Report
人工ウイルスを用いた動物細胞への効率的な遺伝子導入法の開発
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10650783
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上平 正道 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40202022)
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Keywords | 人工ウイルス / 遺伝子キャリヤー / プロタミン / 遺伝子導入 / 動物細胞 / リピッドベシクル / ゲノム組込み / レトロウイルスインテグラーゼ |
Research Abstract |
前年度の研究で組織や細胞への指向性をますために細胞表面のレセプターに対するリガンド物質をリピッドベシクルに取り込ませた遺伝子キャリアーを調整し、特異的な遺伝子導入効率の向上を達成した。また、DNAと複合体を形成することが知られているタンパク質であるプロタミンをリピッドベシクルと複合体を形成させる前にDAN溶液と混合することで導入するDNAのDNaseによる分解からの保護や核への移行を促進し、結果として遺伝子導入効果を向上させることに成功した。これらはいずれもウイルスが宿主細胞に自らの遺伝子を発現させるための戦略と通ずるものであった。本年度はさらに、この遺伝子キャリヤーリピッドベシクルに対象細胞のゲノムへの組込能を付与することを検討した。このため、レトロウイルスの宿主ゲノム組込みにおいて中心的な役割を担っているインテグラーゼをニワトリレトロウイルスであるRSVからクローニングして発現ベクターを作製し、RSVインテグラーゼの認識配列であるLTR領域を部分的に組み込んだ目的遺伝子をPCR法によって増幅調整し、両者を本研究で開発したリピッドベシクルによってCHO細胞に遺伝子導入した。宿主細胞のゲノムの組み込み効率を評価するために、目的遺伝子としてネオマイシン耐性遺伝子を用い、遺伝子導入処理後G418存在下の培養で生育してきた細胞コロニー数からゲノムへの組込効率を測定したところ、インテグラーゼや部分的なLTRを使わないものと比べて、十数倍向上させることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jun YOU: "Enhancement of transfection efficiency by protamine in DDAB lipid vesicle-mediated gene transfer"Journal of Biochemistry. Vol.125(6). 1160-1167 (1999)
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[Publications] Shinji Mizuarai: "Integrase-mediated nonviral gene transfection with enhanced integration efficiency"Journal of Bioscience and Bioengineering. Vol.88(5). 461-467 (1999)