1998 Fiscal Year Annual Research Report
全反射励起サーマルレンズ法による液-液界面での溶媒抽出反応の研究
Project/Area Number |
10650801
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
河濟 博文 近畿大学, 九州工学部, 助教授 (10150517)
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Keywords | 全反射 / サーマルレンズ / イオン会合反応 / 溶媒抽出 / バソフィナントロリン / 反応速度 |
Research Abstract |
化学現象の分子レべルでの理解の進展と共に,界面や表面で進行する化学反応についても,その詳しいメカニズムを明らかにすることが必要となってきた。本申請課題では液一液界面の新しい研究手法として,全反射励起界面サーマルレンズ法を提案した。 1. 装置の試作とモデル分子による性能評価 初年度の本年度は,測定装置を試作し,装置の性能とこの手法の有効性を確認するために,まず,界面での挙動が容易に推定できる両親媒性のモデル分子(ピレン酪酸とピレンデカン酸)について測定を行った。液-液界面に展開に展開したモデル分子の溶解過程がサーマルレンズ信号の減少としてリアルタイム(時間分解能0.1秒程度)で測定できた。小型のNdYAGレーザをポンプ光,可視半導体レーザをプローブ光としたサーマルレンズ法による検出感度も十分高く,単分子膜展開の1/10に相当する量が測定できた。信号の経時変化は界面からの一次元拡散モデルにより説明することができた。 2. イオン会合溶媒抽出反応への適用 よく知られているイオン会合溶媒抽出反応である鉄(II)とフェナンスロリン類との界面反応につき研究した。水相(鉄イオンを含む)と有機相(キレート試薬を含む)を重ね,界面を形成した後,錯イオン生成に相当するサーマルレンズ信号の増加が観測された。速度論解析から界面のキレート生成反応がk=2.3x10^6mol^<-1>cm^4s^<-1>と初めて直接的に求まった。また,界面へのバソフェナンスロリンの吸着,配向過程も観測できた。今後,温度変化を測定し,詳細な速度論的考察が行えるようにするとともに,その知見をもとにより有用な溶媒抽出系の構築につき研究を進める。
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[Publications] Hirofumi Kawazumi: "Development of an Interfacial Thermal Lens Technique:the Dissolving Process of Amphiphilic Molecules at the Interface" Chemical Physics Letters. 282. 159-163 (1998)
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[Publications] Miki Sato: "Surface Density of Pyrenesulfonic Acid at the Air-Water Interface as Determined by Laser-Two Photon Ionization" Analytical Sciences. 14・8. 855-856 (1998)