1998 Fiscal Year Annual Research Report
光電導性芳香族ビニルポリマーフィルムの光誘起電子移動過程に対する電場効果
Project/Area Number |
10650808
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
板谷 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (80035071)
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Keywords | 光電導 / フラーレン / 光誘起電子移動 / カルバソール / 非晶質固体 / ホール移動 |
Research Abstract |
フラーレン(C_<60>)をドープしたカルバゾール系二量体化合物の非晶質フィルムについて、電荷移動吸収帯を励起しピコ秒から6ナノ秒までの過渡吸収スペクトルを測定し、光誘起電子移動のダイナミックスについて検討した。メゾ-2,4-ジ(N-カルバゾリル)ペンタン系では、励起直後にカルバゾールカチオンとC_<60>アニオンの吸収が観測され、1.2ナノ秒の時定数でこの両者の吸収は減衰し、6ナノ秒後にはC_<60>の三重項状態の吸収に加え、弱いがC_<60>アニオンの吸収が観測され、光誘起電荷分離過程とそれに続くカルバゾール環に沿ったホール移動過程の存在を確認できた。この系は、ポリ(N-ビニルカルバゾール)系と全く同様に扱えると考えられる。一方、1,3-ジ(N-カルバゾリル)プロパン系では、励起直後においてカルバゾールカチオンの吸収は明確には観測されなかったが、C_<60>アニオンとC_<60>の励起一重項状態によると思われる吸収が観測され、その後1.2ナノ秒の時定数をもってC_<60>の三重項状態の吸収に変化した。この系では、励起直後に既にC_<60>の励起一重項状態と電荷分離状態が平衡にあると考えられ、本研究の最終目的である光誘起電子移動過程に対する電場効果を、スペクトルの点から調べるのに適した系であることがわかった。また、対照としてC_<60>をドープした各種ポリマーフィルムの過渡吸収スペクトルを測定したところ、ホストポリマーのイオン化ポテンシャルに依存したC_<60>の励起一重項状態によると思われる吸収が観測された。これについて、溶液系とも比較し検討を進めている。電場効果の検討のため、過渡吸収の測定時に試料フィルムに電圧をパルス的に印加できる回路を準備した。
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