1999 Fiscal Year Annual Research Report
光電導性芳香族ビニルポリマーフィルムの光誘起電子移動過程に対する電場効果
Project/Area Number |
10650808
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
板谷 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (80035071)
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Keywords | 光電導 / フラーレン / 光誘起電子移動 / カルバゾール / 非晶質固体 / ホール移動 |
Research Abstract |
ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVCz)-1,2,4,5-テトラシアノベンゼン(TCNB)フィルムについて、ナノ秒レーザーフォトリシスを通常及び印加電場下で行った。その電荷移動錯体の吸収のレーザー励起により生成したTCNBアニオンの吸収の減衰挙動について調べた。電場印加の場合は、ナノ秒時間域では電場の無い場合と同じ減衰を示したが、マイクロ秒時間以降でその減衰は遅くなることがわかった。これは従来の光キャリヤー生成の機構では説明できず、それに対する考え方を改める必要のあることがわかった。 光電子機能性分子として注目され、その光電導性高分子フィルムへの添加により光電導性の増感が起こることの知られているC_<60>フラーレンの光励起状態の吸収スペクトルの溶媒依存性について調べた。励起-重項状態の吸収スペクトルは、溶媒のイオン化ポテンシャルに依存し変化することがわかった。一方、励起三重項状態のそれは、溶媒にほとんど依存しなかった。イオン化ポテンシャルの異なる非晶質固体フィルム中でも類似の挙動が観測された。混合溶媒や電荷移動錯体を用いた結果から、これら励起状態の吸収スペクトルの溶媒依存性は、電子供与性の大きな溶媒中では、その溶媒分子によりC_<60>分子の歪みが誘起され、その歪みにより励起状態の吸収スペクトルが変化することに依ると考えられることがわかった。
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