1999 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム二次電池正極活物質としてのリチウム含有マンガン酸化物に関する研究
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10650819
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
竹原 善一郎 関西大学, 工学部, 教授 (00025892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 誠 関西大学, 工学部, 助手 (00170811)
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Keywords | リチウム電池 / 電池の正極活物質 / スピネル型マンガン酸リチウム / 充放電を繰り返し / 活物質の構造変化 / 超格子構造の化合物 / 結晶格子の一部を他原子で置換 |
Research Abstract |
リチウム二次電池の正極活物質に資源的に豊富なマンガン化合物、例えば、スピネル型Li_2Mn_2O_4(Mn^<3+>とMn^<4+>の等モル物質)を適用した場合、充電時に結晶格子中からMn^<2+>が溶解し、充放電のサイクル寿命が短く、その実用化は難しい。結晶格子のMn位置の一部をCo^<3+>、Ni^<2+>あるいはLi^+で置換すると、Mn^<3+>の一部がMn^<4+>に酸化されるので、初期容量は置換イオンの価数の減少とその量の増加に依存して減少するが、充放電サイクルに伴う構造変化の安定化に大きく貢献し、充放電サイクル寿命を向上させることが分かった。例えば、Mnの一部をCoで置換したLiMn_<1.9>Co_<0.1>O_4を用いた場合、リチウム基準で、4V付近での初期容量は85%程度となるが、充放電を150サイクル繰り返した後もその容量は維持された。一方、置換しないLiMn_2O_4を用いた場合は150サイクル後にはその容量は45%に減少した。Li_xMn_2O_4を充電するとLi^+が脱離し、xの値が小さくなり、立方晶スピネルの格子定数が減少し、x=0.5で新しい立方晶スピネルが生成する。この新しい結晶の生成と活物質の崩壊とが関係する。一方、Coなどで置換すると、Li^+の脱離に伴う第2の立方晶の生成が抑制され、充放電のサイクル寿命が向上することが分かった。Co置換では、Co^<3+>【double arrow】Co^<4+>、Ni置換では、Ni^<2+>【double arrow】Ni^<4+>の充放電反応がリチウム基準で4.7〜4.9Vで進み、4.8V級のリチウム二次電池の正極活物質への適用も可能であった。Li_<4/31>Mn_<5/3>O_4は超格子構造をとり、MnがすべてMn^<4+>となり、リチウムと組合せ3Vの起電力しか得られないが、大きい容量密度が期待できる。しかし、充放電の繰り返しにより結晶が崩壊し、容量が徐々に低下した。Mn位置をNiで置換すると、充放電サイクルの安定性は向上したが、まだ十分な成果を得るまでには到っていない。
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