1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10650823
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大石 修治 信州大学, 工学部, 助教授 (50021027)
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Keywords | オルトリン酸塩 / 結晶育成 / フラックス / バリウム塩素アパタイト / 塩化ナトリウム / リン酸鉛ナトリウム / 結晶構造 / リン酸ストロンチウムカリウム |
Research Abstract |
オルトリン酸塩は、興味深い光物性や電気物性をもち、生体材料としても知られている。そのオルトリン酸塩単結晶のフラックス育成を試みた。溶質とフラックスの混合物を1100℃まで加熱した高温溶液を5℃/hの速度で徐冷した。得られた結晶を検討した。以下の結果を得た。 1.オルトリン酸塩の一種であるバリウム塩素アパタイト[Ba_5Cl(PO_4)_3]単結晶を塩化ナトリウム[NaCl]フラックスから育成した。まず、NaClに対するBa_5Cl(PO_4)_3の溶解度を測定した。溶解度は、温度の上昇とともに増加した。高温溶液を徐冷すれば、目的結晶が生成するであろうことがわかった。実際にBa_5Cl(PO_4)_3-NaCl高温溶液を徐冷したところ、最大12mmで無色透明の目的結晶が成長した。結晶育成の最適溶質濃度は、1.2mol%であった。結晶はよく発達した結晶面で囲まれていた。結晶の形態は六角柱を基本とし、溶質濃度に依存して、長い柱状、短い柱状および針状の3種類があった。バリウム、塩素およびリンは、結晶中にそれぞれ均一に分布していた。これらの結果を、Bull.Chem.Soc.Jpn.誌に発表した。 2.Li_<0.7>Na_<0.3>PbPO_4高温溶液から、オルトリン酸塩の一種であるリン酸鉛ナトリウム[NaPb_4(PO_4)_3]単結晶を育成した。最大結晶の大きさは、0.3mmであった。単結晶構造解析の結果によると、この結晶は六方晶系に属するアパタイト型構造をもつことがわかった。これらの結果は、Mater.Res.Bull.誌に掲載が予定されている。なお、この結晶の育成はモロッコからの研究留学生が担当し、モロッコ・日本・フランスの共同研究として行われた。モロッコは、リンの最大産出国であり、リンの有効利用を図っている。 3.モリブデン酸カリウム[K_2MoO_4]フラックスから、オルトリン酸ストロンチウムカリウム[KSrPO_4]単結晶を育成した。最大3.5mmの結晶が生成した。結晶の形態は、角柱状であった。
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[Publications] Shuji Oishi: "Growth of Barium Chlorapatite Crystals from a Sodium Chloride Flux"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 72・9. 2097-2101 (1999)
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[Publications] Mohamed El Koumiri: "The Crystal Structure of the Lacunar Apatite NaPb_4(PO_4)_3"Materials Research Bulletin. 35・4(印刷中). (2000)