1998 Fiscal Year Annual Research Report
ドナー系黒鉛層間化合物の低温合成法の開発と新規機能の発現
Project/Area Number |
10650825
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 保男 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手 (70027134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 武志 京都大学, 大学院工学研究科, 助手 (80291988)
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Keywords | 黒鉛層間化合物 / 低温合成 / 炭素材料 / 黒鉛 / アルカリ金属 / 溶液法 / ジメトキシメタン / ジエトキシエタン |
Research Abstract |
ドナー系黒鉛層間化合物は、高温においてドナー系物質の蒸気中で黒鉛を処理する気相移送法、低温での電気化学的方法と溶液法などにより合成されているが、本研究では、比較的簡単でかつ安全な方法である溶液法による合成を研究した。溶液法はドナー系物質を溶解した種々の有機溶媒に黒鉛を浸漬することによって、黒鉛層間化合物を合成する方法である。ここでは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムのアルカリ金属系ドナー物質に対し、溶媒にトルエン、..オルト-、メタ-およびパシ-キシレンなどの芳香族系溶媒を用いて溶液法による合成したときの生成状態を明らかにする研究を行った。合成は、各種溶媒に少量のナフタレンをアルカリ金属の溶解剤として加え、これに失然フレーク状黒鉛を浸漬する方法で行い、生成した層間化合物の性状は、x線回折によりその構造が明.らかにされた。使用したドナー系物質の内リチウムとナトリウムは、トルエンおよびキシレンのすべての溶媒に不溶で、従って層間化合物も生成しなかったが、その他のアルカリ金属は黒鉛と反応した。しカル、生成物の性状はアルカリ金属種と溶媒種に依存しており、溶媒がトルエンの場合は、カリウムのみが溶媒も共侵入した3元系黒鉛層間化合物、ルビジウムおよびセシウムは溶媒の共侵入のない2元系黒鉛層間化合物であった。 また、キシレンの場合、オルトキシレンのみ、しかもカリウムとルビジウムにおいてのみ3元系黒鉛層間化合物が生成し、その他のすべてにおいて2元系黒鉛層間化合物が得られた。これらの結果から、従来、2元および3元黒鉛層間化合物が生成する主要な原因として、溶媒のサイズが考えられていたが、溶媒分子の電子状態もその原因になりうることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)