1998 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素芳香族化合物の新規活性化法を活用する不斉反応の開発
Project/Area Number |
10650832
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 良平 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40115960)
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Keywords | 不斉反応 / 含窒素芳香族化合物 / アリルシラン |
Research Abstract |
含窒素複素環化合物に有用な官能性炭素置換基を立体選択的に導入する手法の開発は、様々な生理・薬理活性を有する複素環化合物あるいは医薬品を効果的に合成するためには大変重要な課題である。その手法の1つに含窒素芳香族を活性化して、様々な炭素求核剤と反応させる反応があり、活発に研究されている。しかしながら、今までに報告されたほとんど全ての反応は、活性化基あるいは含窒素芳香環に不斉誘導基を導入してアキラルな炭素求核剤と反応させ、ジアステレオ選択的に炭素置換基を不斉導入する・手法である。アキラルな含窒素芳香環に、直接キラルな炭素求核剤を反応させ、エナンチオ選択的に不斉導入する手法の報告はほとんどない。 本研究者はイソキノリンやキノリンをクロロギ酸エステルとトリフラートイオンで活性化すると、高活性な含窒素芳香族四級イオンが発生し、アリルシランと容易に反応することを見出した。本研究ではこのようにして発生させた高活性な含窒素芳香族四級イオンとキラルなアルルシランを反応させたところ、高エナンチオ選択的にアリル基が含窒素芳香環に付加することを見出した。本反応はキラルな炭素求核剤が含窒素芳香環にエナンチオ選択的に付加した最初の例である。イソキノリン類との反応においては、様々な官能基を持つ場合においても高い官能選択性を示し、90%以上のエナンチオ選択性で1-アリル-1,2-ジヒドロイソキノリン誘導体が得られることがわかった。また、キノリン類に対しても、高官能基選択的に90%以上のエナンチオ選択性で2-アリル-1,2-ジヒドロキノリン誘導体が得られることがわかった。このようにして得られた光学活性な含窒素複素環化合物は様々な生理活性物質の有用な前駆体と考えられる。
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