1999 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素ビナミジニウム塩の高求電子性を活用した含フッ素大環状複素環骨格の構築
Project/Area Number |
10650833
|
Research Institution | KYOTO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
山中 寛城 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (40027909)
|
Keywords | 含フッ素ビナミジニウム塩 / ジアゼピニウム塩 / 含フッ素複素環化合物 / 大環状含フッ素複素環化合物 / 環状ポリアミン |
Research Abstract |
β位が3種類のフッ素基で置換されたビナミジニウム塩とエチレンジアミンとの反応を試みた。β-フルオロー[I] 及びβ-トリフルオロメトキシビナミジニウム塩[II]とエチレンジアミンとの反応では、両者が1:1で反応した7員環化合物であるジアゼピニウム塩が得られた。これに対し、β-トリフルオロメチルビナミジニウム塩[III]とエチレンジアミンとの反応では、7員環化合物ではなく、両者が2:2及び3:3で反応した14員環と21員環の複素環化合物が生成した。14と21員環化合物の生成割合はほぼ1:1であったが、エチレンジアミンの当量数の増加及び反応濃度を希釈することによって14員環化合物の生成割合を増加させることが出来た。得られた14および21員環化合物のX線構造解析データと分子軌道計算結果との対比検討を行った。また、ビナミジニウム塩IIIの反応では何故7員環化合物が得られないかについても分子軌道計算による考察を行った。 他の1,n-アルカンジアミンとして、プロパンジアミン、ブタンジアミン、及びヘキサンジアミンを用いてIIIとの反応を試みた。これらの場合もそれぞれ相当する2:2および3:3の反応生成物であるCF3基を有する大環状複素環化合物が良好な数率で得られた。また、興味あることに、IIIとN-メチルエチレンジアミンあるいはN,N'-ジメチルエチレンジアミンとの反応では7員環化合物が生成し、14あるいは21員環化合物は全く得られなかった。 以上のように、ビナミジニウム塩IIIと1,n-アルカンジアミン類との反応で環サイズの異なる大環状複素環化合物が容易に得られることにより、本反応は大環状ポリアミン類の新しい合成法となり得ることが明らかに成った。
|