1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650842
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八代 盛夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30192785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮山 真 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50133096)
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Keywords | ペプチド / アミノ酸 / 人工ペプチダーゼ / 人工加水分解酵素 / 多核金属錯体 |
Research Abstract |
本研究は、ペプチドおよびタンパク質を化学的な方法で選択的に変換する触媒系を開発し、タンパク質の機能を制御あるいは変換するための手法を新たに確立することを目的とする。 申請者らが最近見い出している次の2種類の反応について検討を進めた。 (1) グリシンのα位が多核金属錯体によって強力に活性化され、アルデヒドと穏和な条件下で反応する。これによってペプチド中のアミノ酸残基の変換が期待できる。 ・各種ペプチドについて検討しグリシンの2〜4量体について反応が進行することを明らかにした。また、この際、N-末端のグリシン残基のみが選択的にセリンまたはスレオニンに変換されることを明らかにした。 ・各種アルデヒドによる、グリシン残基の選択的変換が可能となった。 ・反応中間体を明らかにし、多核金属中心によるアミノ酸の活性化について重要な知見を得た。 ・新な多核金属錯体系を合成し検討した。特に鉄(III)と亜鉛(II)を1個づつ有する異核2核中心は加水分解触媒としてユニークな特製を示すことが明らかとなった。 (2) アミノ酸残基側鎖の水酸基と亜鉛(II)の協同触媒効果により、中性条件下でペプチドを配列特異的に加水分解切断できる。 ・オリゴペプチドの加水分解を検討した。トリペプチドGly-Ser-Glyにおいて、Gly-Ser結合のみが選択的に切断することを明らかにした。しかし、ペプチド鎖が長くなるに従い、反応の効率が次第に低下した。そこで、金属イオンとの相互作用が期待できる側鎖をもつアミノ酸残基をGly-Serに隣接させて配置させたところ、加水分解切断が可能となった。また、速度論的検討を行い、反応機構の詳細を明らかにした。 ・蛋白質の加水分解切断への応用を試みた。蛋白質の場合には重金属の存在により不溶性の会合体を生じやすく、これが反応の障害になることが明らかとなった。この問題は、適切な金属錯体の設計、および、各種の塩を添加することで解決可能と考えられる。これについては次年度も引き続き検討する予定である。
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[Publications] M.Yashiro,A.Yamamura,M.Komiyama: "Sequence Specific Hydrolysis of Peptides by Combination of Internal OH Group and Zn(II) Ion" (発表予定).
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[Publications] J.Kamitani,R.Kawahara,M.Yashiro,M.Komiyama: "Hetero-Dinuclear Metal Complexes for RNA Hydrolysis" Chem.Lett.(10). 1047-1048 (1998)
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[Publications] J.Kamitani,R.Kawahara,M.Yashiro,M.Komiyama: "Design of a Dinuclear Metal Center for RNA Hydrolysis" Nucl.Acids,Symp.Ser.39. 139-140 (1998)
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[Publications] S.Matsuda,A.Ishikubo,A.Kuzuya,M.Yashiro,M.Komiyama: "Conjugates of a Dinuclear Zinc(II)Complex and DNA Oligomers as Novel Sequence-Selective Artificial Ribonucleases" Angew.Chem.,Int.Ed.Eng.37(23). 3284-3286 (1998)