1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10650848
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山子 茂 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30222368)
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Keywords | キャビティー型分子 / デンドリマー / カチオン反応 |
Research Abstract |
本研究では、酵素反応における高い反応性と選択性の発現する原理を指標とし、その機能の中心を担っている反応場を人工的に創製することを目的として検討を行って来た。本研究においては、グリコシダーゼやスクアレン閉環酵素に代表されるカチオン的な中間体を経る反応に着目しており、そのような有機反応に適したキャビティーを持つ金属分子の設計を行うとともに、触媒化に適した反応の探索を行った。得られた主な結果を以下に示す。 (1) Induced fit型の分子触媒を指針として、反応中心のコアには硬い構造を、分子認識部位には柔らかい構造を持つ分子の合成を行った。すなわち、光学活性ビナフトールと枝状構造を持つ高分子を共有結合で結びつける方法の開発により、金属の近傍に大きなキャビティーを持つ光学活性な金属配位子の合成を行った。さらに、この配位子とルイス酸性を持つ金属との錯体化、およびその金属錯体の触媒活性についても併せて検討を行い、良好な結果を得た。 (2) カチオン中間体を経る反応の精密化をめざし、新しいグリコシル化反応の開発に取り組んだ!その結果、有機テルル置換基を持つ糖誘導体が穏和な条件下で活性化され、カチオン中間体を生成する事を明らかにすると共に、反応条件により、α体およびβ体の0-グリコシドが選択的に得られる事を明らかにした。 これらの結果は、化学反応が起こるミクロな環境である反応場の設計および制御法として、新しい分子変換法の基盤を築く基礎的な知見を与えるものであると考えている。
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[Publications] S.Yamago,et. al.: "Synthesis of Opttcally Active Dendritic Binaghtols and Their Metal Complexes for Asymmetic Catalysis" Tetrahedron Lett.39. 3787-3791 (1998)
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[Publications] S.Yamago,et. al.: "Glyrosylation with Telluroglyexsides. Stereoselective Construction of α-and β-Anomers" Tetrahedron Lett.39. 7905-7909 (1998)