1999 Fiscal Year Annual Research Report
キノンの電子受容能を利用した新しい有機反応系の開発
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10650849
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 巧 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40107082)
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Keywords | ホモキノン / 光付加反応 / クラウン化ベンゾフェノン / 光水素引抜反応 / カチオン認識 / 1,3-双極子付加反応 / 反応速度 / 反応制御 |
Research Abstract |
本研究課題としてつぎのサブテーマ1)-3)について結果をまとめる。 1)ホモキノン化合物とアルケンとの[2+2]光付加反応.この[2+2]光環化付加反応の立体化学を支配する要因の解明を目的とした。 生成物は多環系シクロブタン化合物である。付加の位置選択性についてはHead-to-Head体が優先的に得られた。一方、立体選択性については、一般にtrans体が優先的に得られたが、オレフィン置換基の電子共役系が広がるとcis体が主生成物となり逆転した。この位置および立体選択性より反応はより安定なビラジカル中間体を経由し、ラジカル中心とアルケン置換基の共役によってラジカル寿命も延びcis体が優先することが明らかとなった。 2)ジアゾクラウンエーテルの1,3-双極子反応におけるカチオンの添加効果.この熱[3+2]環化付加反応の基質にクラウン環を導入し、そのカチオン認識効果を利用した反応制御を目的とした。無水マレイン酸との2次反応速度は、クラウン環サイズとカチオンサイズが丁度合致する場合に大きく減速し、カチオン選択性が認められた。この結果より、カチオン認識による基質の電子状態の変化が可能で反応性をコントロールできることが分かった。 3)クラウンエーテル部位を有するベンゾフェノンの光ピナコール化反応. クラウン環を持つベンゾフェノンをイソプロパノール存在下、光照射するとピナコールがdl/meso=1:1の生成比で得られた。クラウン環とイオンのサイズが合う場合において水素引抜きの速度が加速された。一方、より大き目のカチオンを添加するとdl/meso=4〜7となった。この結果より、カチオン認識により反応が促進されること、およびサンドウッチ型のコンプレックス形成が立体化学に反映していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Oshima: "2-Bromo-3,3-Dipheny lhomonaphthoquinone"Acta Cryst.. C55. 608-610 (1999)
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[Publications] A.Tsuda: "Cation complexation of quinocrown ethers in electrospray ionization mass spectrometry. A comparison with benzophenone crown ethers"J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 1235-1240 (1999)
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[Publications] T.Oshima: "Conformation and thermal inversion of 10,11-dihydro-5H-dibenzo-[a,d] cycloheptene ring spiro-linked to homoquinones"J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 1783-1789 (1999)
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[Publications] T.Oshima: "Kinetic study of thermolysis of diarylhomoquinones. Endo/exo substituent and solvent efects"J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 135-141 (2000)
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[Publications] K.Kokubo: "Conformational specificity in photoinduced intramolecular 1,7-hydrogen abstraction of homonaphthoquinones having spiro-linked dibenzocycloheptene ring"Org.Lett.. vol.2(in press). (2000)