1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ環縮合キノン類の簡便合成法の開発と天然物合成への応用
Project/Area Number |
10650852
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 和裕 鳥取大学, 工学部, 助教授 (90161976)
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Keywords | キノン / ピラン / インドール / ピロール / チオフェン / エナミン / イミン / 共役付加 |
Research Abstract |
2-(1-ヒドロキシアルキル)-1,4-ナフトキノンと、ケトンとピロリジンから誘導したエナミンとを、トルエン中室温で反応させるだけで、1H-ナフト[2,3-c]ピラン-5,10-ジオン誘導体を一般的に良好な収率で、一段階で合成できることを明らかにした。エナミンの合成が困難または不可能な、アセトアルデヒドやアセトンの場合には、若干収率が低下するものの、対応するイミンを使用できることがわかり、抗生物質であるpentalongin、(±)-eleutherinおよび(±)-isoeleutherinの全合成に応用した。 次に、2-アミノ-1,4-ナフトキノンとエナミンからのインドールキノン誘導体の合成では、2-アミノ-1,4-ナフトキノンを直接使用することはできなかったが、2-(トリフルオロアセチル)アミノ体とすることにより、1H-ベンゾ[f]インドール4,9-ジオン誘導体が好収率で得られることが明らかになった。また、2-(トリフルオロアセチル)アミノ-1,4-ペンゾキノンを用いると、1H-インドール-4,7-ジオン誘導体が好収率で得られた。 さらに、ナフト[2,3-b]チオフェン-4,9-ジオン誘導体の合成について検討した。2-メルカプト-1,4-ナフトキノンは極めて不安定であるので、反応中でのアクリル酸エチルの脱離を期待して、2-[2-(エトキシカルボニル)エチルチオ]-1,4-ナフトキノンを出発原料として用い、エナミンと反応させたところ、ナフト[2,3-b]チオフェン-4,9-ジオン誘導体が得られた。
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[Publications] 小林 和裕: "One-pot preparation of 1H-naphtho 〔2,3-c〕pyran-5,10-diones and its application to concise total synthesis of,(±)-eleutherin and (±)-isoeleutherin" Tetrahedron Letters. 39・40. 7725-7728 (1998)