1998 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族π電子系化合物をコアとするカスケード分子の合成と自己組織化
Project/Area Number |
10650854
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
荒井 貞夫 東京医科大学, 医学部, 助教授 (80117689)
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Keywords | 超分子 / 自己組織化 / ゲル / 分子集合体 / カスケード分子 / 両親媒性化合物 |
Research Abstract |
疎水性メチレン鎖の両末端にそれぞれ6個の水酸基を持つポーラ型両親媒性カスケード分子は,ヒドロゲルを生成することが報告されている。各種観測から,ダンベル型のカスケード分子が水中で水素結合と疎水相互作用により,直交あるいはらせん状にスタッキング(自己組織化)して繊維状の集合体となり,ゲルを生成すると推定されている。そこで,コアとして色素などの芳香族π電子系化合物を含む新規なポーラ型カスケード分子を合成し,自己組織化によるナノスケールの集合体を構築できれば,コアのπ電子系をスタッキングにより配列させ興味ある性質の発現が期待でき,新しい応用研究への材料を提供できると考えられる。 そこで,本年度はコアに最も単純な芳香族π電子系としてベンゼン環を導入した新規なカスケード分子の合成を試みた。ヒドロキノンとα,ω-ジブロモアルカンを無水炭酸カリウム存在下,アセトニトリル中で反応させエーテル体とした。次に,マロン酸ジメチルをDMF中炭酸カリウム存在下反応させテトラエステル体を得た。これとトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを無水炭酸カリウム存在下DMSO中反応させることによりアミド化し,ベンゼン環をコアとしてメチレン鎖の両端に6個の水酸基を持つ新規なカスケード分子を合成した。同様な反応を1,4-ビス(プロモメチル)ベンゼンおよびジヒドロキシナフタレンを出発物質として行った。得られたカスケード分子を水に加え,加熱して均一溶液とした後室温まで放冷したところ,メチレン鎖が4および6のカスケード分子の溶液は流動性を失い,ゲル化した。ゲルの電子顕微鏡観察を行ったところ,繊維状の集合体の形成が観測された。
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