1999 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族π電子系をコアとするカスケード分子の合成と自己組織化
Project/Area Number |
10650854
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
荒井 貞夫 東京医科大学, 医学部, 助教授 (80117689)
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Keywords | 超分子 / 自己組織化 / ゲル / 分子集合体 / カスケード分子 / 両親媒性化合物 |
Research Abstract |
疎水性メチレン鎖の両末端にそれぞれ親水部として6個の水酸基を持つボーラ型両親媒性カスケード分子は,ヒドロゲルを生成することが報告されている。各種観測から,ダンベル型のカスケード分子が水中で水素結合と疎水相互作用により,直交あるいはらせん状にスタッキング(自己組織化)して繊維状の集合体となり,ゲルを生成すると推定されている。そこで,コアとして芳香族π電子系化合物を含む新規なボーラ型カスケード分子を合成し,自己組織化によるナノスケールの集合体を構築できれば,コアのπ電子系をスタッキングにより配列させ興味ある性質の発現が期待でき,新しい応用研究への材料を提供できると考えられる。 昨年度の研究において,ベンゼン環のパラ位に水酸基をもつヒドロキノンと1,6-ジブロモヘキサンから3段階でベンゼン環をコアとしてメチレン鎖の両端に6個の水酸基を持つ新規なカスケード分子を合成した。このカスケード分子を水に加え,加熱して均一溶液とした後室温まで放冷したところゲル化した。そこで今年度は,まずゲル化にあたえるメチレン鎖の長さの効果を検討しするため,メチレン鎖4,8,10のカスケード分子を合成した。また,親水性水酸基の位置の効果を検討するため,メタ位に水酸基をもつレソルシノールから出発し,同様の方法でカスケード分子を合成した。その結果,メチレン鎖の長さが4,6,8のカスケード分子はゲル化するが,10ではゲル化しなかった。また,レソルシノールをコアとしメチレン鎖6の場合もゲル化することがわかった。ゲルの電子顕微鏡観察を行ったところ,繊維状の集合体の形成が観測された。
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