1998 Fiscal Year Annual Research Report
極めて強力な新しい電子供与体,アズレニルキノジメタン類の効率的合成と機能開発
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10650855
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
武隈 真一 近畿大学, 理工学部, 助教授 (00171629)
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Keywords | 電子供与体 / アズレニルキノジメタン類 / 効率的合成 / 機能開発 |
Research Abstract |
新しい機能性材料化学への展開の観点から,π電子系多機能分子システムの創製に関する基礎研究の一環として,我々は十数年来,代表的な非ベンゼン系芳香族化合物のアズレン類の特異的化学反応挙動について詳細に検討している。そこで,今年度はこれら一連の研究の展開中に本研究課題の前駆体である1,4-ビス(ジアズレニル)メチルベンゼン類が効率的(実収率92%以上)かつ経済的に得られる反応条件を見い出した。また,これらは容易にかつ定量的に我々が注目している化合物,アズレニルキノジメタン類に転換できることが判り,本研究課題の7,7,8,8-テトラアズレニルキノジメタン誘導体が効率的(実収率45%以上)に得られた。さらに,このキノジメタン化合物の熱物性(TG/DTA)ならびに電気化学的挙動(CV/DPV)について鋭意検討したところ,新しい有機機能性材料化学への展開に寄与する大変興味ある知見が得られた。また,このキノジメタン化合物の電気化学は大変興味深く,さらに,種々の電子受容体(TCNQ,DDQおよびTCNE等)と容易に電荷移動錯体を形成するなど,実用有機材料化学としての展開が期待でき,注目に値する実験諸事実を得ることに成功した。なお,このキノジメタン化合物の単一結晶X線構造解析については現在鋭意検討中であるが,その半経験的分子軌道法MOPAC(ハミルトニアン:AM1)による最適化構造と電子状態等についても興味をもち,鋭意検討したところ,2,3の大変興味ある計算結果が得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 武隈真一: "酢酸中におけるグアイアズレンとフタルアルデヒド,イソフタルアルデヒドおよびテレフタルアルデヒドとの反応" 日本化学会誌. 1998. 275-279 (1998)
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[Publications] 武隈真一: "Preparation and Characteristic Properties of 7,7,8,8-Tetra-(3-methoxycarbonylazulene-1-y1)-quinodimethane" J.Org.Chem.(印刷中). (1999)