感熱性高分子ゲルの刺激応答温度とミクロ環境の制御

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10650867
• Research Institution: Nara Women's University
• Principal Investigator: 岩井 薫 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (90127423)
• Keywords: 感熱性高分子ゲル / ケイ光プローブ / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 共重合体 / 高分子ミクロ環境 / 熱相転移現象 / 感熱応答挙動 / 体積相転移

Research Abstract

近年,光や熱を始めとするさまざまな外的刺激により高分子化合物の有する機能が変化するいわゆるインテリジェント高分子が注目されている。中でも熱刺激に対して応答機能を持つ感熱性N-イソプロピルアクリルアミドポリマー(PNIPAM)ゲルの研究が盛んに行われているが,その多くは体積変化などのマクロな性質に関するものである。本研究では,研究代表者らによる分子内ケイ光プローブを用いた感熱応答性ポリマーの水溶液系における相転移挙動並びに高分子ミクロ環境に関する研究成果を踏まえ,刺激応答温度を制御するだけでなく,熱相転移現象に伴う高分子ミクロ環境の変化も同時に制御された機能性高分子ゲルの開発を目指し,ハイドロゲルの設計・合成・評値研究を行い,以下の成果を得た。
1.PNIPAMハイドロゲルを種々の条件下(試薬の濃度,調整温度等)で調製し,マクロな熱相転移挙動およびそれに伴うミクロ環境の変化をケイ光プローブ法により追跡し,ゲル調製条件の影響について評価した。
2.PNIPAMを含め6種のポリアクリルアミド系ハイドロゲルの感熱応答挙動並びにミクロ環境を比較検討し,各ゲル系のミクロ環境の差異を明らかにした。
3.種々のNlPAM共重合体ゲルを調製し,マクロな熱相転移挙動およびそれに伴うミクロ環境の変化をケイ光プローブ法により追跡し,熱相転移前後のいずれにおいてもPNIPAMハイドロゲルと同様のミクロ環境を持つが,刺激応答温度の異なるゲル系を見い出した。

Research Products

• [Publications] Kaoru IWAI et al.: "Fluorescence label studies of thermo-responsive poly(N-isopropylacrylamide)hydrogels"Journal of Luminescence. (in press).
• [Publications] 岩井 薫: "ケイ光プローブ法によるLCSTポリマーのミクロ環境評価"高分子加工. 48・6. 248-254 (1999)