新規概念にもとづくラジカル重合ポリマーの分岐構造の制御とその応用

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10650869
• Research Institution: Osaka City University
• Principal Investigator: 山田 文一郎 大阪市立大学, 工学部, 教授 (50047198)
• Keywords: ラジカル重合 / 触媒的連鎖移動 / 分岐ポリマー / コバロキシム / 付加開裂連鎖移動 / 架橋反応 / 重合性連鎖移動剤 / 二官能性連鎖移動剤

Research Abstract

本年度は、非重合性メタクリル酸メチル(MMA)2量体と類似の低反応性二重結合をもつ化合物としてメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、メタクリロニトリル(MAN)、α-メチルスチレン(α-MeSt)およびp-置換α-メチルスチレンの2量体をコバロキシム触媒を用いて合成し各種成長ラジカルとの反応について検討した。MAN2量体では付加開裂を起こすことなく、付加・カップリングでポリマー鎖を結合することを確かめた。MMAおよびCHMA2量体では主として付加・カップリングで反応するが、ポリスチレンラジカルの付加で生じたアダクトラジカルの開裂で不飽和末端基をもつポリスチレンも生成することも明らかとなった。また、α-MeSt2量体へのいろいろなラジカルの付加で生成するラジカルをESRで検出した。不飽和2量体構造をもつポリマーは、α-アルキルチオメチルアクリロイル基を含むメタクリル酸エステルである重合性連鎖移動剤および1分子中に2個の付加開裂連鎖移動性基をもつ2官能性移動剤を用いて行った。重合性連鎖移動剤を用いてMMAの重合が進むと、側鎖となった連鎖移動基への連鎖移動でポリマー側鎖が結合するが、そのポリマー側鎖にも分岐が含まれるから多重分岐構造が生成する。2官能性連鎖移動剤の使用で、両末端に低反応性の二重結合をもつポリ(MMA)が得られ、ポリスチレンラジカルの付加・カップリングで両末端に分岐構造が導入されることを確認した。しかし、α-アルキルチオメチルアクリロイルクロリドとHSCH_2CH_2SHとの反応で得た2官能性連鎖移動剤では、副反応により7員環構造の末端基が生じることも明らかとなった。この副反応は、HS(CH_2)_nSHでn=3,6とすることで防止できる。

Research Products

• [Publications] 田中 健太、山田 文一郎: "Reactions of Bifunctional Addition-fragmentation Chain Transfer Agent for Synthesis of Polymer Bearing Unsaturated Moieties at Both Ends"Macromolecular Chemistry and Physics. (発表予定).
• [Publications] 山田 文一郎、鴻巣 修、田中 健太、奥 文法: "Preparation of branched polymer by radical polymerization using polymerizable chain transfer agent"Polymer. (発表予定).