チオール基を有する生分解性ポリ乳酸共重合体の合成および特性評価

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10650874
• Research Institution: Kansai University
• Principal Investigator: 大内 辰郎 関西大学, 工学部, 教授 (60067650)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助教授 (10213886)
• Keywords: ポリ乳酸 / システイン / チオール基 / 反応性官能基 / L-ラクチド / 開環共重合 / 乳酸共重合体 / 生体内分解吸収性高分子

Research Abstract

高反応性官能基としてチオール基に着目し、新規生医用材料の開発を目的としてチオール基を有する生体内分解吸収性高分子の合成について検討を加えた。具体的には、グリコール酸とシステインからなる環状デプシペプチドと乳酸ダイマーであるラクチドとのランダム共重合体poly[LA-random-(Glc-Cys)]およびブロック共重合体poly(Glc-Cys)-block-polyLAの合成と特性評価を行い、以下の結果を得た。
1)平成10年度に合成したpoly[LA-random-(Glc-Cys)]とポリ乳酸との結晶性の違いを示差走査熱量測定により検討した。その結果、デプシペプチド・ユニットの含有率の増大に伴い、共重合体のTg、Tmおよび結晶化度が低下することがわかった。
2)非酵素条件下でのpoly[LA-random-(Glc-Cys)]の生分解性について検討した結果、デプシペプチドユニットの含有率が増加するにつれて、結晶性が低下するために分解性が増すことが明かとなった。
3)THF中でのアルカリ金属を用いた2段階の開環重合と脱保護により、種々の組成を有するブロック共重合体poly(Glc-Cys)-block-polyLAの合成に成功した。またフィルム表面のチオール基の定量を行った結果、poly[LA-random-(Glc-Cys)]表面に比べてpoly(Glc-Cys)-block-polyLA表面の方がより高密度にチオール基を集積できることが見出された。

Research Products

• [Publications] 大内辰郎: "Biodegradable Microspheres Having Reactive Groups Prepared from L-Lactic Acid-Depsipeptide Copolymers"Macromol.Chem.Phys.. 200. 436-441 (1999)
• [Publications] 大内辰郎: "Synthesis of Block Copolymer of L-Lactide and Depsipeptide with pendant Thiol Groups"Designed Monomers and Polymers. [印刷中).
• [Publications] 大内辰郎: "Advances in Science and Technology.13 Intelligent Materials and Systems"Ed.P.Vincenzini.Techna Faenza. 8 (1999)