1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650883
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大越 豊 信州大学, 繊維学部, 助教授 (40185236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 康夫 信州大学, 繊維学部, 助手 (60262698)
奈倉 正宣 信州大学, 繊維学部, 教授 (70021178)
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Keywords | 電気抵抗 / 電気伝導度 / 曳糸性 / 紡糸性 / 繊維形成能 / 高速度カメラ / 繊維の破断 / 繊維構造 |
Research Abstract |
曳糸性とは物質が持つ"糸を引く"性質のことであり、材料の繊維化に必要不可欠であるのみならず、食品分野や生物学分野でも重要な物性である。"曳糸性"は物質の粘度と相関が深いが、必ずしも粘度のみで決まるものではなく、非線形流動(加工硬化)の程度や試験条件、特に歪速度が大きく影響する。また、実際の繊維形成時には、通常温度や組成を変化させて最終的に固化させるため、繊維形成時の"曳糸性"はより複雑なものとなる。これまでに報告されている"曳糸性"の測定法は、いずれも基本的には材料を一定温度下で引き伸ばした際の最大の伸びを使用している。測定のほとんどは目視に頼るものであり、曳糸性の発現機構に関する考察も定性的なものにとどまる。そこで我々は、無機塩法アルミナ繊維用紡糸液について液状糸の電気抵抗変化を利用し、その破断形態及び破断までの直径変化を定量的に測定する装置を製作した。また、電気抵抗の測定と同時に高速度カメラによる撮影を行うことによって、液状糸の電気抵抗変化がどのような液状糸の状態を反映しているかを確認した。 本年度は、上記の研究に基づき、試料温度および雰囲気温度の制御が可能な曳糸性評価システムの開発を進めた。この結果、従来システムよりも高感度かつ連続的な測定が可能な電気抵抗測定装置を備え、試料温度300℃以下、雰囲気温度-10〜100℃で制御可能なシステムが開発できた。現在最終調整中である。 また、信州大学繊維学部精密素材工学科高須・村上研究室で見出された新しい重縮合触媒による有機・無機ハイブリット高分子ゾルの繊維化を意図し、同研究室との共同研究によって安定した紡糸液の調製法を探索した。この結果、有機アルミニウムゾルの系について高粘度のゾルが得られ、曳糸性測定による最適化条件探索の結果、直径数十μmの均一な有機アルミニウムハイブリッド繊維を作製することができた。
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