1999 Fiscal Year Annual Research Report
新しい機能発現を目指した芳香族系導電性高分子の物性評価
Project/Area Number |
10650893
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
大野 尚典 山口東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (10194250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸嶋 直樹 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (50011010)
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Keywords | 導電性ポリアニリン / ドーピング / 導電率の温度変化 / 熱伝導度 / カンファースルホン酸 / 触媒化学重合法 / ボロントリフルオライド / 3-ブトキシカルボニル-4-メチルピロール |
Research Abstract |
(1)室温より高い温度領域での導電性ポリアニリンの導電率の温度変化の検討 室温から液体ヘリウム温度までの低い温度領域での導電性ポリマーの導電率の温度変化は、導電機構を解明する目的で数多く報告されているが、導電性ポリマーについて、室温より高い温度領域での導電率の温度変化を報告した例は、これまでにない。我々は、導電性ポリマーの熱電変換材料への応用を検討する目的で、初めて室温より高い温度領域(25℃〜200℃)で導電性ポリアニリンの導電率の温度変化を検討した。導電率の温度変化の挙動は、ドーパントの種類によって異なるが、いずれの場合にも、130℃近辺にて導電率は大きく低下した。これは、ドーパントのポリマー鎖からの遊離によるものと思われる。 (2)室温より高い温度領域での導電性ポリアニリンの熱伝導度の温度変化の検討 有機高分子の熱伝導度は一般に低いが、導電性ポリアニリンの熱伝導度の測定は殆どされていない。一般には、導電性を有する材料は、絶縁体に比べ熱伝導度が高くなると考えられるが、これまでに導電性ポリマーの熱伝導度の温度変化を測定した例はない。そこで、我々は、導電性ポリアニリンについて、室温から150℃の範囲で熱伝導度を測定した。カンファースルホン酸をドーパントとしたポリアニリンは、導電率が188S/cmもあるのに、熱伝導度は測定温度範囲でほぼ1.00Wm^<-1>K^<-1>であり、これは絶縁体である汎用性ポリマーの熱伝導度に比べてほとんど変わらないことが明らかになった。この低い熱伝導度は、導電性ポリアニリンの熱電変換材料への応用の可能性を検討するときに、有利に働くと期待される。 (3)可溶性BMPポリマーの合成 多くの芳香族系導電性ポリマーは、溶媒に不溶であり、その利用を考えるとき加工成型に問題がある。そこで可溶性の導電性高分子を大量に得る目的で、ピロール誘導体である3-ブトキシカルボニル-4-メチルピロール(BMP)を、酸化剤のFeCl_3を化学量論量の1/10用いた触媒重合法により重合した。この重合の際に第三成分としてボロントリフルオライド(BF_3・Et_2O)を少量添加すると、ポリマーの収率が著しく向上することを見いだした。
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[Publications] Naonori Ohno and Naoki Toshima: "Novel Catalytic Oxidative Synthesis of Soluble Conductive Polymers of Poly(3-butoxycarbonyl-4-methylpyrrole)"Chemistry Letters. 435-436 (1999)
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[Publications] Hu Yan,Naonori Ohno and Naoki Toshima: "Low Thermal Conductivities of Undoped and Various Protonic Acid-doped Polyaniline Films"Chemistry Letters. (in press). (2000)