1998 Fiscal Year Annual Research Report
採掘跡空洞の破壊の進展と地表等への影響に関する研究
Project/Area Number |
10650915
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斎藤 敏明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90056151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 澄彦 京都大学, 工学研究科, 助手 (30273478)
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Keywords | 地下空洞 / 岩盤破壊 / 長期安定性 / 地表への影響 |
Research Abstract |
地下空洞の長期安定性評価を正確に実施するには,岩盤物性の時間依存性,岩盤強度劣化のメカニズム,浸透水などの空洞周辺環境などの要因を考慮する必要がある。しかし,採掘跡空洞が長時間経過した後,その破壊が地表に影響を及ぼすかどうかを検討するような場合,時間経過に従った空洞安定性評価は難しいが,充分時間が経過した後の空洞の破壊状態を解析によって予想し,それに基づいて地表への影響の可能性を検討することができるものと考えられる。本研究では,このような考えに基づいて有限要素法弾塑性解析による採掘跡空洞の破壊の進展と地表等への影響についての評価法を提案し,以下に示す解析手順に従ってある鉱山の採掘跡空洞についてその検討を行った。 まず,充分時間が経過した後の岩盤強度には圧縮試験における残留強度を採用するのが妥当であると考えられるが,既存の空洞破壊域が特定できる場合は,解析上の塑性域が実際の破壊域にマッチするように岩盤強度を設定する。次に,解析上の塑性域は充分時間が経過した後空洞に崩落するものとし,崩落後の空洞形状が安定で滑らかなものとなるよう崩落領域を決定する。また,崩落した岩盤は適切な体積増量率で空洞を充填するものとして充填領域を定め,充填領域には充填材としての適切な物性値を与える。最後に,崩落領域と岩盤との境界に掘削相当外力を作用させて解析し新たな塑性域を決定する。以上の操作を空洞が完全に充填されるか塑性域が地表に到達するまで繰り返す。今回,この方法を適用した鉱山の場合,空洞破壊の影響が地表に及ぶ危険性はないが,破壊が鉱柱に及ぶと鉱柱の破壊にともなう大きな崩落が発生する危険性があることがわかった。今後,ここで提案した手法に対して岩盤強度の設定や崩落領域の設定において改良を行い,原油地下備蓄基地の岩盤タンクなどさまざまな地下空間利用のための空洞についてもこのような検討を行う必要があろう。
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