1999 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄循環ミニ生態系を導入した硫化鉱物の処理システム
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10650918
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (90167403)
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Keywords | 硫黄循環 / バイオリーチング / 脱硫 / 好熱性細菌 / 硫黄細菌 / 硫酸還元細菌 / 硫化鉱物 / 硫化水素 |
Research Abstract |
1.硫化鉱物の浸出 Acidianus brierleylによる閃亜鉛鉱(ZnS)の浸出実験(65℃、pH1.2)を回分反応器で行い、初期液相第二鉄濃度[Fe(III)]_0を変えて得られた実験データ(亜鉛の浸出率、液相菌体濃度の経時変化)を速度解析した。[Fe(III)]_0=0.05kg/m^3で測定された浸出速度は、無鉄の場合よりも増加し、微生物浸出の寄与に第二鉄イオンによる化学浸出の寄与を考慮したモデルで定量的に説明できた。ところが[Fe(III)]_0=0.33,0.58kg/m^3で測定された浸出速度は、[Fe(III)]_0=0.05kg/m^3の場合とほぼ同程度になり、モデルに基づく計算値よりも低下した。浸出液中の第二鉄イオン濃度を高めすぎても、含第二鉄水酸化物が沈殿するために、閃亜鉛鉱の浸出が抑制されることがわかった。 2.浸出残液からの硫酸イオンのバイオ変換 各種硫酸還元細菌のうち、変換速度の面からはDesulfovibrio desulfuricansが優れているが、末端電子供与体として有機物(乳酸)が必要になる。また、Desulfovibrio vulgarisはその比増殖速度がD.desulfuricansよりも若干低いが、無機物(水素)を末端電子供与体として硫酸イオンを還元できる。環境負荷最小型プロセスの開発を図るという点からは、D.vulgarisを適用することが望ましいと考えられる。 3.トータル・システムの構築 無機硫黄の酸化能または還元能を有する微生物を利用して、人工的な硫黄成分の循環流れ(硫化物→硫酸イオン→硫化水素→元素硫黄)を直列に連結させた反応器内で作り出し、硫化鉱物からの有価金属の浸出と硫黄成分の回収を図る生物反応システムを提案した。各バイオ装置ごとに得られた定量的な知見を総合的に判断した結果、硫化鉱物のバイオリーチングがそのダウンストリームプロセスよりも著しく遅く、システム全体としての処理速度の律速段階であることが明らかになった。したがって、硫化鉱物の浸出速度の向上が本処理システムの高効率化に結びつくことになる。
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[Publications] Y. Konishi: "Bioleaching of Chalcopyrite Concentrate by Acidophilic Thermophile Acidianus brierleyi"Biohydrometallurgy and the Environments toward the Mining of the 21^<st> Century, Elsevier. Part A. 367-376 (1999)
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[Publications] T. Takashima: "Anaerobic Oxidation of Dissolved Hydrogen Sulfide in Continuous Culture of the Phototrophic Bacterium Prosthecochloris aestuarii"J. Biosci. Bioeng.. Vol.83,No.3(in press). (2000)