1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50143409)
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Keywords | イネ / 穎果 / 収量 |
Research Abstract |
水稲の穂の成長は、成育段階・速度の様々な穎果からなる。穎果間の変異には品種間差が存在することが研究代表者ならびにその所属研究室の研究者によって示唆されている。本研究では、その要因を明らかにし、登熟を高めひいては多収を目指すための基礎的知見を得ようと行った。 水稲品種、日本晴、タカナリ、アケノホシ、IR72、IR65598-112-2を圃場で栽培した。登熟期の光合成量を変えるため、出穂期に栽植密度を1/2にする株間引き処理区と1/2の遮光処理区を設けた。その後9回にわたり主茎をサンプリングした。現在、日本晴について解析を終了した。得られた結果は以下の通りである。 1.株間引き処理は、昨年の気象不順のため効果が非常に小さかった。2.遮光処理によって、穂重増加速度の低下ならびに、茎十葉鞘重の減少量の増加が見られた。3.穂を構成する全ての穎果の乾物増加速度の解析に、新たに開発した手法を導入したところ、処理の影響を定量的に捉えることができた。4.一次枝梗穎果は、遮光によって処理開始後11日目から乾物増加速度が低下した。この時期は出穂前蓄積がほぼ全て消費された時期に対応していた。また乾物増加速度の低下率は軽い穎果はど大きかった。しかしコントロール区と比較し最終粒重に差が見られたのは全一次枝梗穎果の10%程度であった。5.二次枝梗穎果は、遮光によって処理開始後7日目から影響が出ていた。その時点で成長を開始していない粒はその後しばらく成長を停止していた。成長を続けた穎果の乾物増加速度の低下率は一次枝梗穎果同様、軽い粒ほど大きかった。コントロール区と比較し最終粒重に差が見られた穎果は全二次枝梗穎果の70%以上であった。 現在他の品種についても同様の測定・解析を行っており、品種間の比較を行う予定である。
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