1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660012
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
山岸 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50143409)
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Keywords | イネ / 穎果 / 成長 / 収量 |
Research Abstract |
水稲の穂の成長は、成長段階・速度の様々な穎果からなる。穎果間の変異には品種間差が存在することが研究代表者ならびにその所属研究室の研究者によって示唆されている。本研究では、その要因を明らかにし、登熟を高めひいては多収を目指すための基礎的知見を得ようと行った。 昨年度の結果では、インディカ品種ではジャポニカ品種に較べ、強勢穎果の成長が早く、その結果弱勢穎果の成長が抑制されているようであった。しかし用いた品種が少なかったため、今年度はインディカ19品種、ジャポニカ23品種(内ジャバニカ12品種)、日印交雑品種5品種計47品種について強勢穎果の初期成長速度を透視によって観察した。その結果、開花後穎果が最大サイズとなるまでの日数はインディカ品種で約7日、ジャポニカ品種で約9日であり、インディカ品種の穎果は初期成長速度が速かった。また日印交雑品種ではインディカ品種に近い成長速度を示した。 穎果間の競合関係を定量的に評価する方法を開発するため、1穂を構成する全穎果の成長速度を推定する方法の開発を進めた。その結果、ある穎果の乾物重の1穂内における順番は成長が進んでも変わらないことを明かにし、このため各時点における乾物重の相対順位が等しい穎果の乾物重を、時系列で並べることによって、各穎果の乾物成長速度を推定できることがわかった。この解析法によって、光合成量を変えた場合、成長の進んでいない穎果ほど、成長速度に影響を受けることがわかった。現在さらに、1穂を構成する全穎果の成長速度のシミュレーションモデルの作成を行っている。
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