1998 Fiscal Year Annual Research Report
多収機構解明のための水稲登熱過程の動的予測モデルの開発
Project/Area Number |
10660014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 政夫 京都大学, 農学研究科, 助手 (80185339)
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Keywords | 水稲 / モデル / 穎花数 / 出穂 / 開花 / 窒素 / 非構造性炭水化物 |
Research Abstract |
1. 面積あたり穎花数の推定サブモデルの構築 圃場および温度傾斜型チャンバー(TGC)装置内で水稲コシヒカリを栽培して得た水稲の穎花数、窒素(N)および非構造性炭水化物(NSC)含有量のデータとすでに収集しているデータをあわせて解析した結果、水稲の穎花数に最も大きな影響を及ぼす要因が、穎花分化後期の地上部N含有量と幼穂分化期から穎花分化後期の期間の平均気温であることがわかった。そこで、この2要因から面積当たりの穎花数を推定するサブモデルを構築した。このモデルの推定精度は高く、パラメータの値も生理学的に妥当なものであった。以上より、ここで構築したモデルは穎花数の推定に有効であると考えられた。 2. 日々の出穂数を推定するサブモデルの構築 外気条件で生育した水稲を幼穂分化期にTGC装置内に搬入した後、日々の出穂数と開花穎花数を調査した。気温が出穂数に及ぼす影響を解析した結果、日々の出穂数は概ね気温の影響を受けてその速度が決まる発育指数によって表すことができことがわかった。そこで、この関係をより、日々の出穂数を予測するサゲモデルを構築した気温と開花数の間には弱い正の相関が認められた。しかし、同一出穂日でも、穂の出穂程度(穂の全長の何%が葉鞘から抽出しているか)が大きく異なり、出穂程度の差異により開花穎花数が大きく異なっていたため、現段階では開花数推定サブモデルを構築できなかった。しかし、この出穂程度の差異を定量化すれば、精度の高い日々の開花穎花数を推定するサブモデルが構築できると考えられた。
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