2000 Fiscal Year Annual Research Report
多収機構解明のための水稲登熟過程の動的予測モデルの開発
Project/Area Number |
10660014
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大西 政夫 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (80185339)
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Keywords | 水稲 / モデル / 穎花数 / 出穂 / 開花 / 窒素 / 非構造性炭水化物 |
Research Abstract |
1.温度傾斜型チャンバー(TGC)装置の温度制御性能の検討 昨年新設した温度傾斜型チャンバー(TGC)装置の温度制御能力が不足したため、冬期に改良し、その温度制御能力を、5月(低温期)〜8月(高温期)にかけて再度検討した。その結果、低温期には十分温度を制御できたものの高温期には温度コントローラの性能が低く、TGC中央部より奥は全て同一の温度になることが判明した。そのため、TGC装置の一番奥の最高温部に設置していた温度コントローラをTGCの中央部(中温部)に移動することにより、TGC内の温度分布が改善された。 2.面積当たりの穎花数推定サブモデルの有効性の検討 島根県松江市および島根県飯石郡赤来町において、水稲を栽培を行い、バリデーション用データを収集した。そして、構築済みの穎花数推定サブモデルに適応した結果、僅かな誤差で穎花数を推定することができた。このことより、本モデルは穎花数推定に有効であると考えられた。 3.出穂率推定サブモデルの有効性の検討 幼穂分化期まで外気温条件下で生育させた水稲をTGC装置内に搬入し、日々の出穂数および開花数を調査した。既に構築済みの出穂率推定サブモデルに対するこれらのデータの適合度は高かった。しかし、新設・改良したTGC装置の温度制御が以前不完全であったため、計画していたデータ数が収集できなかった。 4.開花率推定サブモデルの構築 収集した日々の開花率と気温データより、気温から日々の開花率を推定するサブモデルを構築した。気温のみを要因としているため、やや推定精度は低かったものの、日々の開花率を概ね説明することができると考えられた。 5.水稲の日々の出穂・開花数推定モデルの構築 上記のモデルを結合させて日々の出穂・開花数を推定するモデルを構築した。このモデルは個々の穎花の生長速度を積算した形の水稲の登熟過程の動的予測モデルを構築のための重要な基本モデルになると考えられた。
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