2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660025
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 テツ 神戸大学, 農学部, 教授 (80031227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 寛則 神戸大学, 農学部・附属農場, 助手 (50294202)
高崎 剛志 神戸大学, 農学部, 助手 (30314511)
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Keywords | 自家不和合性 / ニホンナシ / S遺伝子 |
Research Abstract |
ニホンナシ自家不和合性の雌ずい側S遺伝子産物として、RNase活性を有するタンパク質(S-RNase)が見い出され、S-RNaseは開花4〜5日前から柱頭と花柱の花粉管誘導組織で発現し、開花直前に最大の発現量を示すことが明らかになっている。このようなS-RNaseの組織・発達段階に特異的な発現はプロモーターにより制御される。ニホンナシのS_22-、S_3-、S_4-、S_5-RNaseのプロモーター配列を相互に比較すると、4つのS-RNase間で保存されるBox1と、さらにその上流域にS_3-とS_5-RNaseにのみ保存されるBox2領域が存在する。このため、ニホンナシS-RNaseの雌ずい特異的な発現に必要なシス配列はBox1に存在すると考えられている。 そこで、S_3-RNaseプロモーターの9つのデリーション断片にGUSレポーター遺伝子を連結し、アグロバクテリウムを介してタバコに導入し、得られた形質転換体の雌ずいにおけるGUS遺伝子の発現量を調査した。 最も長いS_3-RNaseプロモーター(-760)を導入した形質転換体において、蛍光法によるGUS活性は雌ずいにのみ認められ、葯、花弁、萼、葉、茎及び根の組織では検出されなかった。GUS活性は開花4日前から検出され、開花時に最大に達していた。また、雌ずいにおけるGUS発現を組織化学的に調査し、GUS活性は花粉管誘導組織でのみ観察された。この解析からGUS遺伝子の組織及び発達段階に特異的な発現の制御域がS_3-RNaseプロモーター(-760)内に存在すると考えられた。 特異的発現に必要とされるシス配列を同定するため、9つのS_3-RNaseプロモーターのデリーション/GUSコンストラクトを導入した形質転換体を選抜し、これらについて、GUS活性の比較を行った。GUS活性が検出されたのは、S_3-RNaseプロモーターの-760から-322までの領域を欠失させた場合であった。-322から-274までを欠失した場合には、GUS活性が検出されず、これにより、S_3-RNaseの花柱特異的な発現に必要とされるシス配列はBox1領域の-322から-274の間の50bpに存在することが明らかになった。また、-566から-372までの領域を欠失した場合には、最も長いS_3-RNaseプロモーター(-760)の導入に比べ、GUS活性が顕著に減少していることから、Box2領域の-566から-372までの間には、雌ずいでの発現を複対立遺伝子に特異的に高めるようなエンハンサーが存在することを示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Castillo,C.: "Reconsideration of S-genotypes assignments, and discovery of a new allele based on S-RNase PCR-RFLPs in Japanese pear cultivars"Breed.Sci.. 51. 5-11 (2001)
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[Publications] Gamage,N.: ".Expression of cDNA encoding for S2-RNase of the Japanese pear in transgenic tobacco."Memoirs of Graduate School of Science and Technology Kobe University. 19. 1-10 (2001)
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[Publications] Takasaki,T.: "S receptor kinase determines self-incompatibility in Brassica stigma."Nature. 403. 913-916 (2000)
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[Publications] Gamage,N: "Expression of a fusion protein of Pyrus pyrifolia S-RNase with glutathione-S-transferase in E.coli"Biotechnology Letters. 22. 1413-1417 (2000)
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[Publications] Gamage N.: "In vitro shoot regeneration from leaf tissue of apple (cultivar "Orine") : High shoot proliferation using the carry over effect of TDZ."Acta Horticulturae. 520. 291-300 (2000)
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[Publications] Watanabe,M.: "Highly divergent sequences of the pollen self-incompatibility (S) gene in class-I S haplotypes of Brassica campestris (syn.rapa) L."FEBS Letters. 473. 139-144 (2000)