1998 Fiscal Year Annual Research Report
エンブリオジェニックカルスを用いたファレノプシスの形質転換系の開発
Project/Area Number |
10660028
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
田中 道男 香川大学, 農学部, 教授 (10115975)
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Keywords | ファレノプシス / エンブリオジェニックカルス / 形質転換系 / パーティクルガン |
Research Abstract |
ファレノプシスのエンブリオジェニックカルス(EC)からは多数のプロトコーム状球体が形成されることが知られている.遺伝子導入後により多くの再生植物体を得られれば,その中に遺伝子組み換え植物体が含まれる可能性も高くなることが期待される.そこで,本年度は,ECにパーティクルガンを用いて遺伝子導入を行うための条件について検討した. 実験には,Phalaenopsis Richard Shaffer′Santa Cruz′のECを供試した.プラスチックシャーレにろ紙を敷き,その直径30mmの円内にEC(生体重500〜600mg)をのせた.DNAの導入はレーボック自動空気式遺伝子導入装置(モデル-260,レーボック商工株式会社)によって行い,発射圧力を55,140,170または190kg・cm^<-2>とした.また,大腸菌由来のプラスミドDNApBI221,およびジェミニウイルスDNAを改変して作製されたpWI-GUSを用いて,ECにおけるβ-グルクロニダーゼ遺伝子(gus)の一過性発現を調べた. その結果,撃ち込み48時間後のgus発現は,発射圧力55kg・cm^<-2>のときにはほとんど認められず,pBI221では140kg・cm^<-2>,pWI-GUSでは170kg・cm^<-2>のときに一過性発現数がそれぞれ最高であった.発射圧力が同じならば,pBI221に比べてpWI-GUSを用いたほうが概して発現数が多かった.また,いずれのベクターを用いても,発射圧力が140kg・cm^<-2>になるとgusの一過性発現数は明らかに多くなった.しかしながら,それ以上の圧力では発現数にほとんど差が認められなかった. これらのことから,今後,目的遺伝子および選抜マーカー遺伝子を導入するにあたっては,ジェミニウイルスベクターを140kg・cm^<-2>の圧力で撃ち込むことが妥当であると判断された.
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