1999 Fiscal Year Annual Research Report
エンブリオジェニックカルスを用いたファレノプシスの形質転換系の開発
Project/Area Number |
10660028
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Research Institution | KAGAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 道男 香川大学, 農学部, 教授 (10115975)
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Keywords | ファレノプシス / エンブリオジェニックカルス / 形質転換系 / パーティクルガン |
Research Abstract |
ファレノプシスのエンブリオジェニックカルス(EC)からは多数のプロトコーム状球体(PLB)が形成されることが知られている.そこで,本年度は,ECにパーティクルガンを用いて遺伝子導入を行い,再生したPLBにおいて遺伝子組み換え体の選抜を試みた.実験には,Phalaenopsis Richard Shaffer 'Santa Cruz'のPLB切片より誘導したECを供試した.プラスチックシャーレにろ紙を敷き,その直径30mmの円内にEC(生体重500〜600mg)をのせた.遺伝子組み換え体選抜のため,パーティクルガン(レーボック商工製)により,ビアラホス耐性遺伝子(bar)をもつプラスミドDNApMSP38とともに,gusをもつプラスミドDNApWI-GUSをECに撃ち込んだ.このときの発射圧力は,昨年度の実験結果から,140kg/cm^2とし,シャーレあたり2回ずつ撃ち込んだ.シャーレは12枚供試した.遺伝子導入したECをVW培地に移植したところ,約15000個のPLBが分化した.0.5および1.0mg/lの除草剤ビアラホスを含む培地にこれらのPLBを2週間ごとに移植し,さらに5mg/lビアラホス添加培地への移植を2回行った結果,6個のPLBまたはPLB集塊が緑色ないしは淡い黄緑色を維持していた.これらを生存していると見なしてビアラホス無添加培地に移植したところ,うち5個体は生長することなく枯死した.生存した2個のPLBは,その上部切片より小植物体を形成し,下部切片からはそれぞれ8個,14個のPLBが形成された.しかしながら,これらの生存2個体由来の小植物体から抽出したDNAを鋳型としておこなったPCRでは,gus,barのいずれについても増幅断片は認められなかった.温度条件を変えてPCRを行ったが,結果はネガティブであった.また,gus発現検定においても,これらの植物体では呈色反応は観察されなかった.
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