1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660046
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐久間 正幸 京都大学, 農学研究科, 助手 (40135554)
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Keywords | 仮想現実 / 誘引 / 定位 / Servo-sphere / 移動運動補償装置 / Bombyx mori |
Research Abstract |
匂い刺激に対して化学定位をおこなう昆虫は,匂いの濃度をそのパルスの周期,匂いを含む風の物理的刺激などの外部刺激を参照していると考えられる。本研究は,これらの刺激要因からなる仮想的化学空間を制御ソフトウェア上に設計し,供試虫の動きを参照しながらリアルタイムに刺激を与えることで,行動を組み立てているプログラムを実証的に明らかにすることを目的とする。具体的には,球体の上に供試虫を乗せ,球を虫の動きと逆方向に回転させることで,虫を1点に留めながら移動運動を記録する移動運動補償装置を使用する。この装置によって作られる擬似無限平面上に種々の仮想的な化学空間のモデルを展開して,ソフトウェア上に設定した目標への誘導に成功したとき,そのモデルは実証されたことになる。今年度は,供試虫に刺激を与える送気・試料導入装置を製作し,球体制御プログラムに試料導入関数を組込んだ。試料導入はフォトモスリレーボードを介して風洞直結の電磁バルブを制御しながらおこない,試料導入関数として6モデルを設計したが、そのうち,虫が仮想的目標の方向に向かったときに,フェロモンパルスを発するPulse in Targetモデルによる制御のもと,カイコ♂成虫の性フェロモンに対する定位反応について仮想現実実験をおこない,目標への誘導に成功した。定位するカイコの神経モデルでは刺激の入力とともに左右の転回が反転するflip-flopモデルが提唱されているが、目標へのベクトルの取得については明らかにされていなかった。本来目標に到達できない無翅の♂成虫でもこのモデルのもとでは目標に到達できることから,翅による送風で前方の雰囲気をサンプリングして,フェロモンを感知するとリセットがかかり匂い源に直進する定位プログラムが明らかとなった。このように仮想現実実験の有効性が証明されたので,その内容について年度内に講演し,さらに投稿を準備中である。
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Research Products
(1 results)