1998 Fiscal Year Annual Research Report
ジカルボキシイミド系殺菌剤の耐性機構と植物病原菌の浸透圧調節機構
Project/Area Number |
10660052
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
藤村 真 東洋大学, 生命科学部, 助教授 (50297735)
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Keywords | ジカルボキシイミド / 浸透圧 / アカパンカビ / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
ジカルボキシイミド(DCI)耐性機構と浸透圧調節機構の関連について解析するたあにNeurosporaの浸透圧感受性変異株を用いて研究をおこなった。DCIを野生株に処理した場合にはグリセロールの異常蓄積が認められたが、耐性株(浸透圧感受性株)ではグリセロール蓄積が認められなかった。また、耐性株の示す浸透圧感受性の形質は高浸透圧条件下でのグリセロール蓄積能の低下に起因すると推定された。さらに、os-5株より新しく単離した浸透圧耐性復帰変異su(os-5)株の生化学的な解析から、浸透圧感受性とDCI耐性は必ずしも相関しないが、DCIの抗菌活性発現とグリセロール異常蓄積に相関関係が認められることが明らかとなった。なお、このサプレッサー変異su(os-5)は、os-5に特異的に働くが、os-5遺伝子座とは連鎖を示さず第二染色体にマップされた。これらの結果については現在投稿準備中である。また、os-1変異は、その表現型から3つのグループに分類されたが、os-1遺伝子(浸透圧センサー遺伝子)の破壊株を遺伝子工学的手法により作成しその性質を各os-1変異株と比較した。その結果、遺伝子破壊株の表現型は、DCI高度耐性・浸透圧低度感受性グループと類似していることが判明した。現在、各グループのos-1変異株からos-1遺伝子をクローニングし、変異の同定を行っている。また、同定されていない浸透圧感受性変異遺伝子os-2,os-4,os-5をクローニングするために、コスミドライブラリーのスクリーニングを現在おこなっている。今後、これらの遺伝子を解析することにより、浸透圧センサーの下流の遺伝子群を明らかにするとともに、浸透圧浸透圧調節機構とDCI耐性メカニズムの関連について解明していく予定である。
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