1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660054
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20202111)
|
Keywords | エリサン / シンジュサン / 休眠 / 耐寒性 / 性決定 / トレハロース / 過冷却点 / 染色体 |
Research Abstract |
1.シンジュサンとF2の休眠蛹を上蔟後30日以上25℃で保存し100日間25℃と4℃で保存した後、体液のトレハロース濃度と過冷却点を測定した。シンジュサンにおいて、25℃で保存した休眠蛹の体液のトレハロース濃度は平均15mg/mlであり、4℃で保存した休眠蛹は平均34mg/mlであった。25℃で保存したF2休眠蛹の体液のトレハロース濃度は平均14mg/mlであったが、4℃で保存したF2休眠蛹では5mg/mlから37mg/mlの間でさまざまに分離し、平均は18mg/mlであった。シンジュサン休眠蛹の過冷却点は25℃保存の個体は平均-21℃、4℃保存の個体は平均-23℃で、エリサン非休眠蛹の過冷却点よりそれぞれ3℃、5℃低く、冷蔵による過冷却点の降下はみられなかった。シンジュサン♀×エリサンのF2休眠蛹における過冷却点は25℃保存では平均-27℃、4℃保存では平均-21℃でともにシンジュサンに近く、冷蔵による過冷却点の降下はみられなかった。過冷却点と体液トレハロースの濃度の間に相関はなかった。2.ショウジョウバエの性決定遺伝子dsxのエリサンでの相同遺伝子を得るため、Bmdsxの雌雄共通領域と雌特異的領域のアミノ酸配列に基づいてプライマーを合成し、サクサンとエリサンの5齢幼虫の精巣と卵巣のRNAを鋳型にしてRT-PCRを行った。その結果、雌雄共通領域のプライマーを用いた場合には、雌雄両方で約0.5Kbの増幅産物が得られ、雌特異的領域のプライマーを用いた場合には、卵巣のRNAからのみ約0.7Kbの増幅産物が得られた。これらはカイコから増幅される産物のサイズと一致した。卵巣由来の増幅産物の塩基配列を決定し、そこから予想されるアミノ酸配列をカイコのBmdsxと比較した結果、82.2%という高い相同性を示した。以上の結果は、W染色体を欠くエリサンも、dsxホモログをもっており、カイコの場合と同様に転写産物に性差があることを示している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Masataka G.Suzuki, Tomoko Terada, Masahiko Kobayashi, Toru Shimada: "Diapause-associated transcription of BmEts, a gene encoding an ETS transcription factor homolog in Bombyx mori."Insect Biochemistry and Molecular Biology. 29・4. 339-347 (1999)
-
[Publications] Toru Shimada: "Genetic mapping of virus resistances in Bombyx mori and B. mandarina."RIKEN Review. 22. 68-71 (1999)
-
[Publications] 嶋田透: "カイコの生殖と休眠を支配する遺伝子ネットワーク."第19回基礎育種学シンポジウム報告(学術会議育種学研連). 19(印刷中). 13 (2000)
-
[Publications] 嶋田透: "カイコのゲノム研究の意義,現状および展望."平成12年度日本農学会シンポジウム要旨集. (印刷中). 11 (2000)
-
[Publications] 阿部 靖,永田昌男,小林正彦,野口洋子,清水 治,嶋田 透: "エリサンとテンサンの核多角体病ウイルスにおける2遺伝子の塩基配列."野蚕Wild Silkworm News. 39(印刷中). 2 (2000)
-
[Publications] 嶋田 透: "エリサンとシンジュサンの交雑種における諸形質の遺伝.(印刷中)"野蚕Wild Silkworm News. 39. 1 (2000)