1998 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌胞子形成過程の最初期段階の制御機構に関する研究
Project/Area Number |
10660073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 顕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10207863)
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Keywords | 枯草菌 / 胞子形成 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
(1) ispU遺伝子の機能に関する研究 まず最初にispU遺伝子の3'-端末に6xHis-tagを付加して大腸菌内で発現きせ、Ni^<2+>agarose columnなどを用いてIspU蛋白を精製し、これをウサギに免疫し抗IspU抗体を作製した。この抗体を用いて枯草菌の胞子形成過程におけるIspU蛋白の消長について調べたところ、ispU-lacZ融合遺伝子を用いて調べたispU遺伝子の発現時期と一致した。また胞子形成初期過程の枯草菌抽出液に対してcross-linkerを作用させ、抗IspU抗体を用いてIspU蛋白を検出したところ、IspU蛋白が複数の異なる蛋白質と相互作用していることが明らかになった。現在IspU蛋白と相互作用する蛋白質の同定を試みている。 (2) kinA遺伝子発現に影響を与える遺伝子のスクリーニング 既に取得している5株のトランスポソン変異株について挿入部位を同定したところ、オリゴペプチド取り込みに関与しリン酸リレー系のpositive regulatorであるspoOKオペロン、ヘミン合成に関与するhemAオペロン、チアミン合成に関与するthiC、yjbV遺伝子及び機能未知のylbF遺伝子であった。このうちhemA及びthiC、yjbV変異株はそれぞれヘミン、チアミンを胞子形成培地中に添加することにより胞子形成が回復したので、培地中にこれらの栄養素が不足していたために胞子形成過程に移行できなかったものと推察される。spoOK変異株に関する詳細な解析の結果、kinA遺伝子特異的な転写調節因子の存在が示唆された。そのため現在同調節因子の同定を試みている。また、ylbF変異株についてはその胞子形成欠損の表現型がspoOE遺伝子(リン酸化SpoOAに特異的なホスファターゼをコードする)の欠損により相補された。この結果からYlbF蛋白がSpoOEホスファターゼの何らかの調節因子であると考え、現在更なる解析を行っている。
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