1999 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌Aspergillus nidulansのキチン分解酵素群の機能解明
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10660074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀内 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00209280)
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Keywords | Aspergillus / キチナーゼ / 先端生長 / 自己溶菌 |
Research Abstract |
我々のグループは糸状菌A.nidulansより菌類型キチン分解酵素(キチナーゼ)をコードする遺伝子chiAと細菌型キチナーゼをコードするchiBを単離しその機能解析を行っているが、これまでにその破壊株の表現型からchiBが液体培養時の自己溶菌に関わるのに対しchiAは菌糸生長、分生子形成にある程度関わっていることが推定されていた。本年度には、chiAが栄養要求性の変異でありオロチジン5'ホスフェートデカルボキシラーゼをコードするpyrGとの二重変異でウリジンの量を制限した低浸透圧培地での生育が非常に阻害され、菌糸が異常な形態を示しまた菌糸の途中で頻繁に溶菌が見られることが明らかにした。この二重変異株は培地に浸透圧安定化剤を加えると野生型と同様の表現型に回復することから、chiAの菌糸生長における働きの重要性が低浸透圧において増加することが示唆された。一方、chiAのコードする遺伝子産物ChiAはN末端側のキチナーゼ触媒ドメインの下流に約500アミノ酸からなるこれまでに知られているタンパクと相同性を示さない領域が存在する。そこでこの部分の機能について検討するため、この部分だけを欠失させた株を作製した。この変異とpyrGの二重変異株ではchiAの全領域が欠失したタイプのpryGとの二重変異株よりさらに分岐が増えるなどのより激しい表現型の変化を示した。これらのことからchiAのC末端領域がchiAの菌糸生長における機能に必須であることが明らかになった。
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