1998 Fiscal Year Annual Research Report
P450ヘム結合様ドメインを持つ担子菌由来の新規低分子量タンパク質の構造と機能
Project/Area Number |
10660076
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宍戸 和夫 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (40087549)
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Keywords | チトクロムP450 / 低分子量ヘムタンパク質 / 担子菌 / 一酸化炭素差スペクトル |
Research Abstract |
我々は、担子菌シイタケからチトクロームP450(分子量4〜6万)のプロトヘム結合に関わる21アミノ酸配列に極似した配列を含み、74アミノ酸をコードする新規遺伝子を分離し、shp1と命名した。本遺伝子はシイタケの成熟子実体で高程度に発現している。本研究においてはshp1の発現産物SHP1タンパク質の構造と機能を明らかにすることを目的に実験を行い、以下のような研究結果・成果を得ることができた。SHP1タンパク質をグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として大腸菌内で発現させ、精製したGST-SHP1タンパク質について一酸化炭素差スペクトルをとったところ、P450の特徴である450nmに極大吸収を観察することができなかった。次ぎに、GST-SHP1を生産する大腸菌をヘムの合成素材であるδ-アミノレブリン酸存在下で培養し、一酸化炭素差スペクトルをとったが結果は同じであった。そこでGST-SHP1をヘモグロビンから調製したプロトヘム溶液に加え、混合液をアルカリにしてから中和(再構成処理)したところ、SHP1タンパク質が部分的ではあるがP450様タンパク質に変換していることがわかった。現在、本標品を使用してカンファーなどの基質に対する一原子酸素添加反応がおこるか否かを調べるべく準備中である。以上の研究を進行中に予期せぬ実験結果を得た。それは、シイタケ染色体上にshp1に極似した遺伝子が2つあるいは3つ存在していることである。本研究ではこれら遺伝子産物についても解析を進める予定である。なお、上記研究成果はA novel gene,shp1,encoding a low-molecular-weight protein with a cytochrome P450 heme-binding domain,derived from the basidiomycete Lentinus edodesとして投稿中である。
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