1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660083
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 秀之 京都大学, 農学研究科, 助手 (10202136)
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Keywords | グルタチオン / システイン / 大腸菌 / ペプチダーゼ / ジペプチド |
Research Abstract |
システイニルグリシナーゼ活性を持つペプチダーゼのうち、アミノペプチダーゼA,NとジペプチダーゼDについては、これまで様々な研究がなされているが、残りのアミノペプチダーゼBについては精製酵素の性質についても全く研究がされていなかった。そこで、PepBの持つ金属イオンの同定を目的とした精製、様々な金属イオンのPepBに対する影響、またその基質特異性について検討した。 ロイシンアミノペプチダーゼ活性を指標として、精製過程で金属イオンを添加せずにPepBを単離した。PepBはMn@@S12+@@E1によって活性化されるが、本精製酵素はZn@@S12+@@E1をMn@@S12+@@E1の10倍以上含有していた。しかし、高濃度のZn@@S12+@@E1の添加によって酵素は失活するため、PepBにおけるZn@@S12+@@E1の働きは不明である。また、PepBにはMn@@S12+@@E1の結合しやすい場所とCo@@S12+@@E1,Ca@@S12+@@E1,Fe@@S12+@@E1の結合しやすい場所があると考えられ、これらの金属イオンの相互作用によって高い活性化がみられた。Mn@@S12+@@E1,Co@@S12+@@E1についてはPepBの熱に対する安定化効果も得られた。また、PepBのCys-Glyに対する活性は極めて高く、Cys-Glyが最も良い基質であったことから、グルタチオン分解系においても、PepBがCGaseとして機能していると考えられた。PepA,B,D,Nは細胞内で協調的に働いて、CyS-Glyを分解すると考えられていたが、OPA法を用いた高感度なアミノ酸分析によりこれら4つのPepすべてを欠失させた菌株においてもわずかではあるが活性がみられ、いずれか1つのベプチダーゼを復帰させた菌株でも活性は回復し、PepBを復帰させた菌株では最も大きく活性が回復した。これより、これら4つのPepすべてが大腸菌内でCGascとして機能しており、その中でもPepBが最も良く機能していることがわかった。さらにこの4つのPep以外にも菌体内に未知のCGaseが存在する可能性が示された。 大腸菌K-12株において、ジペプチドを細胞質内に取り込む系として、OppAオペロンの産物によるもの、OppEオペロンの産物によるもの、Dppオペロンの産物によるものが知られている。これまでにdppA::Tn10とoppE欠損株を準備できていたので、まずOppA::kan変異株の作製を遺伝子破壊法によって行った。,また、3種類のペプチド取り込み系欠損変異を組合わせた株(いずれか1つの取り込み系を欠損したもの3つ、2つを欠損したもの3組、3つすべてを欠損したもの)をP1ファージを用いた一般形質導入法により作製した。
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