1998 Fiscal Year Annual Research Report
海産無脊椎動物レクチンの構造及びその細胞膜傷害作用に関する研究
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10660094
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畠山 智充 長崎大学, 工学部, 助教授 (50228467)
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Keywords | レクチン / カルシウム / 海産無脊椎動物 / 化学修飾 / 溶血素 / 毒素 / リポソーム / 糖脂質 |
Research Abstract |
本研究では海産無脊椎動物の中でも棘皮動物に属するグミ(Cucumaria echinata)体内に存在する糖結合タンパク質(レクチン)の構造と機能について検討を行った。グミに4種類存在するCa^<2+>依存性レクチンの中でも、CEL-IIIと名付けられた分子量47,500のガラクトース特異的レクチンは、赤血球膜にイオン透過性の小孔を形成して溶血活性を発現するが、その際、CEL-IIIの赤血球膜表面への特異的な結合が重要なステップであることが明らかになっている。そこで、ヒト赤血球膜から構成脂質を分離・精製した後に、それらを人工脂質小胞リポソームに組み込み、CEL-IIIを作用させた際の内部からの蛍光物質の漏出を測定することによって、それぞれの膜構成脂質のCEL-IIIレセプター能の評価を行った。その結果、CEL-IIIは赤血球膜に存在する脂質のうち、スフィンゴ糖脂質、中でもラクトシルセラミド(LacCer)を用いた場合にのみ、リポソームからの蛍光物質の効果的な漏出を引き起こした。一方、CEL-IIIと糖脂質との結合を、糖固定化マイクロプレート法を用いて測定した結果、LacCerに最も親和性が高かったが、グロボシド(Gb_4Cer)にもほとんど同程度の親和性が認められた。これらの結果から、CEL-IIIは非還元末端にβ-結合ガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンを有する糖脂質に強く結合するが、赤血球膜に対する小孔形成のためには、単に糖脂質との親和性だけではなく、その糖鎖の結合様式や長さなどが大きく関係していることが示唆された。一方、CEL-IIIの溶血活性に関与するアミノ酸残基を化学修飾法により検討した結果、アミノ基が重要であり、それはCEL-IIIが膜内でオリゴマーを形成する過程に関与していることによることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tomomitsu Hatakeyama et al.: "Characterization of the interaction of hemolytic lectin CEL-III from the marine invertebrate,Cucumaria echinata,with artificial lipid membranes:Involvement of neutral sphingoglycolipids in the pore-forming process" J.Biochem.125(2). 277-284 (1999)
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[Publications] Imre Sallay et al.: "Studies on the carbohydrate binding sites of the hemolytic lectin CEL-III isolated from the marine invertebrate Cucumaria echinata" Biosci.Biotechnol.Biochem.62(9). 1757-1761 (1998)
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[Publications] Tomomitus Hatakeyama et al.: "Chemical modification of the hemolytic lectin CEL-III by succinic anhydride:Involvement of amino groups in the oligomerization process" Biosci.Biotechnol.Biochem.62(6). 1185-1189 (1998)