1999 Fiscal Year Annual Research Report
海産無脊椎動物レクチンの構造及びその細胞膜傷害作用に関する研究
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10660094
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畠山 智充 長崎大学, 工学部, 助教授 (50228467)
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Keywords | レクチン / カルシウム / 海産無脊椎動物 / 化学修飾 / 溶血素 / 毒素 / タンパク質コンジュゲート |
Research Abstract |
本研究では,まず海産無脊椎動物グミ(Cucumaria echinata)の体液及び組織中に存在する溶血性レクチンCEL-IIIの構造と機能を明らかにする事を目的として,その化学修飾が活性に及ぼす影響について検討した。CEL-IIIのアミノ基を無水コハク酸を用いてスクシニル化した際に,その赤血球凝集活性はほとんど影響されずに溶血活性のみが消失したことから,逆の荷電を有するカルボキシル基に着目し,グリシンメチルエステル及び水溶性カルボジイミドにより化学修飾したところ,アミノ基の場合と異なり,赤血球凝集活性,溶血活性ともに著しく低下した。しかしながら,糖固定化マイクロプレートを用いた糖結合活性測定からはわずかな活性低下が見られたのみであったことから,CEL-IIIのカルボキシル基の修飾は,このタンパク質が持つ2箇所の糖結合部位のうち片方のみの活性を阻害する事によって引き起こされたものと推定した。 -方,同じグミ体内に存在するCa^<2+>依存性レクチンであるCEL-Iについて,モデル及び天然の両親媒性α-ヘリックスペプチドを付加したコンジュゲートを作成し,赤血球膜との相互作用を検討した結果,Ca^<2+>存在下でのみレクチン活性に依存した溶血活性を発現することが見出された。この結果は,生理活性ペプチドとレクチンとの組み合わせにより,細胞特異性を付与した抗菌タンパク質などの新規な生理活性を示す人工タンパク質を設計することが可能であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tomomitsu Hatakeyama et al.: "Carbohydrate-dependent hemolytic activity of the conjugate composed of a C-type lectin,CEL-I,and an amphiphilic α-helical peptide.43-βAla2"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 63(7). 1312-1314 (1999)
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[Publications] Haruna Kouriki-Nagatomo et al.: "Molecular mechanism or pore-formation in lipid membranes by the hemolytic lectin CEL-III from marine invertebrate Cucumaria echinata"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 63(7). 1279-1284 (1999)
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[Publications] Hiromiki Kuwahara et al.: "Effects of chemical modification of carboxyl groups in the hemolytic lectin CEL-III on its hemolytic and carbohydrate-binding activities"Biosci.Biotechnol.Biochem.. (印刷中).