2000 Fiscal Year Annual Research Report
プルラン分解性α-アミラーゼの機能構造解析と基質特異性の変換
Project/Area Number |
10660096
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
酒井 坦 静岡県立大学, 大学院・生活健康科学研究科, 教授 (10092214)
|
Keywords | 酵素の機能構造 / タンパク質工学 / 部位指定変異 / サブサイト / pETシステム / 結晶化 / 大量発現系 / 封入体 |
Research Abstract |
前年度の研究から、プルラン分解性を有するThermoactinomyces vulgaris R-47のアミラーゼII(TVAII)のH202とY204の側鎖はそれぞれサブサイト-2と、サブサイト-1に入る糖と相互作用し、基質の認識に重要であり、K203の側鎖は基質結合部位近傍の水素結合ネットワークに関与して、基質結合部位全体の安定性にかかわっている考えられた。これらを実証するには構造解析がもっとも適している。そのために本酵素の結晶化を目指して大量発現系の構築を試みた。本酵素遺伝子をpET15bのNdeI部位に挿入し、T7プロモーター下で発現させた。すると大量の酵素蛋白質が発現するものの不溶性画分にあった。種々の培養温度、IPTG濃度を検討したが、可溶性画分の収量を増加させることはできなかった。またこの不溶性蛋白質は尿素やTritonでも可溶化できなかった。TVAIIは溶液中で二量体を形成しているとされ、不溶化の原因がN-末端にHis-Tagを導入したことによる可能性もあり、N-末端に余分な配列の付かないpET9aに挿入した場合も検討したが、やはり不溶性蛋白質として生産された。このため、従来の方法で精製した酵素を用いて結晶化を試みたが、充分量を得ることができず条件の検討には至らなかった。 別のプルランを分解する酵素であるプルラナーゼとの構造の比較ができれば、プルラン分解性アミラーゼファミリーの酵素の基質認識機構を考察することができると考えた。このため、安定性が高いと期待される高度好熱菌Thermus thermophilus HB-8よりプルラナーゼ遺伝子をクローニングし、大腸菌で発現させた。今後、発現系を改良して結晶化を試みるつもりである。
|