1999 Fiscal Year Annual Research Report
マメ科植物と根粒菌の共生に関する植物ホルモンの機能の解析
Project/Area Number |
10660105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山根 久和 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (80090520)
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Keywords | ダイズ / 根粒菌 / トランスポゾン / インドール酢酸 / インドールピルビン酸デカルボキシラーゼ / ジャスモン酸 / フラボノイド / フェニルアラニンアンモニアリアーゼ |
Research Abstract |
トランスポゾンTn5挿入変異によりダイズ根粒菌Bradyrhizobium elkaniiからインドール酢酸(IAA)低生産株を11株取得した。それぞれの変異株によって生産されるIAAは野生株の2.2〜13.6%であった。B.elkaniiは、主にインドールピルビン酸経路でIAAを生合成していることが示されているが、それらの変異株の生化学的解析から、すべての変異株において、インドールピルビン酸デカルボキシラーゼ(IPDC)によって触媒される段階がブロックされていることが明らかとなり、このことからB.elkaniiにおいてはIPDCがIAA生産の鍵酵素となっていることが示唆された。また、B.elkaniiの宿主植物の一つであるサイラトロを用いて、IAA低生産株と野生株の根粒誘導能を比較した結果、IAAが根粒形成に重要な役割を果たしていることが示された。一方、根粒菌の宿主であるダイズなどは、フラボノイドを生産分泌し、根粒菌にnod factorの生産を誘導するが、nod factorが宿主植物におけるジャスモン酸生合成の誘導を介してフラボノイド生産をさらに活性化する可能性が考えられる。このことを明らかにするために、ダイズ培養細胞を用いてフラボノイド生産の活性検定系の確立を試みた。ダイズ培養細胞では、フラボノイド生産が必ずしも安定しないため、フラボノイド生合成の鍵酵素であるphenylalanine ammonia-lyase(PAL)活性を指標としたところ、ジャスモン酸に対して安定した反応を示すことがわかった。今後、この検定系を用いることにより、nod factorが宿主植物のフラボノイド生産に与える影響の定量化、およびそれにジャスモン酸が介在するかどうかの解析も容易になると考えられる。
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