1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖工学に基づいた自己免疫性神経障害の発症機序の解析
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10660107
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石田 秀治 岐阜大学, 農学部, 助教授 (20203002)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 自己抗体 / 微量ガングリオシド / ギラン・バレー症候群 / カンピロバクター・ジェジュニ / 糖鎖工学 / 神経障害 / リポ多糖 |
Research Abstract |
従来原因不明とされてきた神経疾患の中に、自己の糖鎖抗原に対する抗体が関与する疾患が含まれることが明らかにされてきた。本研究では、この疾患発症の鍵分子を化学合成することで、疾患発症のメカニズムを解明することを目的として研究を進めている。この鍵分子の一つが神経系に含まれる超微量ガングリオシドGalNAc-GM1b及びGal NAc-GD1aである。これらは、主要な糖脂質であるガングリオシドGM2と同一のエピトープを有しており、本疾患の患者血清中に見い出される抗GM2抗体の標的分子となり得る可能性が示されている。しかし、これらは超微量ガングリオシドであるため、その生物機能は明らかではなく、化学合成による純粋な標品の大量供給が必要とされている。両ガングリオシドを系統的に合成するために、共通構造であるGM2エピトープ3糖を構造単位として用いることとし、ガラクトースにシアル酸及びN-アセチルガラクトサミンを順次結合させることにより、目的の3糖を得た。この3糖を糖供与体の形に変換した後、Gg3アクセプターと縮合することにより、Gal NAc-GM1bを、またGM2アクセプターと縮合することにより、Gal NAc-GD1aの糖鎖部分を構築した。今後、脂質部分であるセラミドを導入することにより、目的であるガングリオシド2種に導く。 一方、本疾患発症のもう一つの鍵分子であるC.jejuniのリポ多糖についても化学合成を進めており、ガングリオシド様エピトープ部分の合成と、KDOやヘプトース等の特異糖を含むコア部分の合成を完了した。今後は、両者を縮合することで全合成を達成する。
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Research Products
(1 results)