1998 Fiscal Year Annual Research Report
サイクロデキストリン包接オクタコサノールの栄養学的意義
Project/Area Number |
10660116
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
川村 美笑子 高知女子大学, 生活科学部, 助教授 (70094745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロン・RIセンター・核素子研究部, 教授 (80134063)
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Keywords | サイクロデキストリン包接 / オクタコサノール / 運動機能 / マウス遊泳能力 / 経口投与 |
Research Abstract |
オクタコサノール(OCT)は、米、小麦胚芽、砂糖キビ等から抽出される炭素鎖28の天然アルコールである。研究代表者並びに研究分担者等は、最近、サイクロデキストリン(CD)で包接したOCTの合成に初めて成功し、この物質が消化管からの吸収性に優れていること、中でも、褐色脂肪組織、脳への集積が高いことを動物実験により明らかにした(微量栄養素研究14、149、1997)。そこで、体内に吸収されたOCTは、(1)副腎からのアドレナリンの分泌を惹起し、一連のカテコールアミン分泌を亢進する。(2)中枢神経系ではカテコールアミン作動性神経系を通じ作用が発現する。という作業仮説をもとに、OCTの栄養学的意義を解明しようとするものである。 本年は、まず、機能発現について、流速を調製できる水流プールでの自発的水泳能を測定することにより、運動機能に及ぼす影響を評価した。実験には、ddY系雄性マウス(32〜37g、7週齢)を供し、京大松元式運動測定水槽を用いて遊泳実験(水温30℃、流速30cm/秒)を行った。あらかじめ、遊泳能力に差のないマウスを選抜し、CD包接OCTの投与群と、コントロールとして生理食塩水投与群の2群(各群9匹)をもうけた。連続して3週間経口投与(17.4μgOCT/0.2ml/匹/日)を行い、各週毎に遊泳時間を測定した。投与1週間目では、2群の間に遊泳時間の差は認められなかった。2週間目以降から、CD包接OCT投与群がコントロール群に比較して遊泳時間が有意に長いことが示された。しかし、投与中止1週間目には2群間の差は無く、再投与を行うと2週間目にはCD包接OCTの効果が認められた。以上の結果から、CD包接OCTの運動機能増強作用が認められ水溶性OCTは体内へ良く吸収された後、運動機能増強作用の発現に関与していることが示唆された。。CD包接OCTの使用により、OCTの吸収量と機能の発現との関係を明らかにできること、血中動態等に相関したより詳細な結果を得ることができる。さらにはその作用機作の解明へとつなげることができ、新しい機能性の発見が予測される。
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