1998 Fiscal Year Annual Research Report
食糧種子の難溶性蛋白質を特異的に分解する酵素とそのインヒビターの分子解析と応用
Project/Area Number |
10660118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 啓子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10151094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 一朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00291328)
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Keywords | 小麦種子 / システインプロテアーゼ / グリアダイン / 発現生産 / 組み換えタンパク質 |
Research Abstract |
グリアダインの発現プラスミドを大腸菌に導入し、IPTG誘導により発現させたところ、目的の長さのタンパク質は不溶画分として得られた。界面活性剤により可溶化させ、グルタチオンアフィニティークロマトグラフィーにかけて単一な発現タンパク質として獲得した。 本酵素がノーザン解析あるいはウェスタン分析により発芽過程で著しく発現量が増大することから、グリアダインが貯蔵タンパク質のプロテオリシスを担う主要な酵素であることが予想された。よって実際にコムギ種子内在の貯蔵タンパク質を抽出し、グリアダインにより切断されるかどうかを検討した。その結果、貯蔵タンパク質の主成分であるグリアジン(プロラミン系貯蔵タンパク質)を効率よく水解することが判明した。また、他の貯蔵タンパク質であるグルテニン(グルテリン系貯蔵タンパク質)、グロブリン、不溶性タンパク質についても同様の検討を試みた。その結果グルテニンに関してもグリアジンほどではないが一部切断しているのが観察された。 コムギ種子グリアダインについて種子CPとして世界で初めて活性を保持した組み換え体を得ることができた。興味深いことに、組み換えグリアダインはin vitroでの実験ではあるが、実際にコムギ種子の最も主要な貯蔵タンパク質であるグリアジンを分解した。グリアダインは発芽過程において貯蔵タンパク質(グリアジン)のプロテオリシスに関与していることから、コムギ食品特有のタンパク質(グルテン)の品質改良、あるいは食品加工過程、例えば製パン工程等での利用価値が大いにあると考えられる。ひいては食品加工上都合のよい種類のCPを適量含むような小麦の分子育種も可能であり、安定した品質の穀物の供給に寄与できる可能性があると考えられる。
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[Publications] M.Asano-Miyoshi: "Identification of taste tissue-specific cDNA clones from a subtraction cDNA library of rat circumvallate and foliate papillae." J.Biochem.124. 927-933 (1998)
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[Publications] N.Kudo: "Crystallization and preliminary X-ray diffraction studies of a rice cysteine" J.Biochem.123. 568-570 (1998)
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[Publications] Y.Kusakabe: "Identification of two α-subunit species of GTP-binding proteins,Gα15 and Gαq,expressed in rat taste buds." Biochim.Biophys.Acta. 1403. 265-272 (1998)
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[Publications] I.Matsumoto: "Functional expression and enzymatic properties of two Sitophilus zeamais cysteine proteinases showing different autolytic processing profiles in vitro." J.Biochem.123. 693-700 (1998)
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[Publications] T.Asakura: "Oryzasin as an aspartic proteinase occurring in rice seeds:purification,characterization,and application to milk clotting." J.Agric.Food Chem.45. 1070-1075 (1997)
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[Publications] J.Funaki,: "Purification and characterization of a neutral protease that contributes to the unique flavor and texture of tofu-misozuke." J.Food Biochem.21. 191-202 (1997)