1998 Fiscal Year Annual Research Report
フェノールの酸化とワインの品質-フェノールの酸化が赤ワインの変色,混濁形成,機能性に及ぼす影響-
Project/Area Number |
10660119
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
横塚 弘毅 山梨大学, 工学部, 教授 (60020450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 徹 山梨大学, 工学部, 助手 (10252008)
高柳 勉 山梨大学, 工学部, 助教授 (00252007)
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Keywords | ワイン / ブドウ / フェノール / 混濁 / アミノ酸 / タンパク質 |
Research Abstract |
ワインの混濁形成に影響を与えるブドウのタンパク質に関する実験を行った。 試料用ブドウとしてカベルネ・ソーピニヨン,マスカット・ベリーA,甲州,シャルドネ,リースリング,セミヨンの6品種を用いて,ブドウ成熟の各期にサンプリングしたブドウ果粒を果汁,果皮,種子に分け,それぞれの組織中の遊離アミノ酸,ペプチド,タンパク質量,及びそれらのアミノ酸組成を調べた。 果汁では遊離アミノ酸量はブドウ品種によって異なり,糖度が19ブリックスの時では400〜2230mg/Lの範囲にあった。可溶性タンパク質は100〜500mg/Lの範囲にあり,セミヨン種が最も多く含んでいた。種子では遊離アミノ酸濃度が1mg/g以下と低く,タンパク質濃度は20〜40mg/gであった。果皮でも遊離アミノ酸はほとんど検出されず,タンパク質は1〜5mg/gの濃度にあった。以上のことからワインの窒素化合物供給源として,果汁や酵母の代謝物/自己消化物以外に,果皮や種子が考えられた。ワイン醸造において抽出されうる各成分の最大量を組織別に分類すると,遊離アミノ酸は主として果汁由来であるが,タンパク質は果皮由来の物が多いことが明らかになった。 モデル溶液にカベルネ・ソーピニヨン及びマスカット・ベリーA種の種子及び果皮を浸漬し,溶出される成分を検討したところ,ワインと同じ条件ではアミノ酸は種子から20mg/L,果皮から73mg/L溶出し,タンパク質は双方から5mg/L程度が溶出した。また,種子の場合モデル溶液のpH,温度,及びエタノール濃度が高いほど多くの窒素化合物が抽出され,果皮では温度とエタノール濃度が高いほど抽出率が増加した。
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