1998 Fiscal Year Annual Research Report
小腸冊子縁膜との相互作用を指標にした乳脂肪膜糖タンパク質の生理機能解析
Project/Area Number |
10660121
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 幹 名古屋大学, 農学部, 教授 (20144131)
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Keywords | 乳脂肪球皮膜タンパク質 / 小腸冊子縁膜 / 乳脂肪 |
Research Abstract |
乳は、乳幼児などの未熟な消化器官によっても十分利用されるという、他の食品には無い特殊性を持つ。特に、乳汁中の脂肪は、他の食品脂肪と異なり、リン脂質や糖タンパク質からなる皮膜(脂肪球皮膜)で覆われ、乳汁中にエマルションとして分散して存在している。我々は、これまでの研究成果より乳脂肪球皮膜タンパク質は新生児腸管内での乳脂肪の消化・吸収に重要な役割を果たすという仮説を抱いている。本研究では、この脂肪球皮膜タンパク質を中心にして、小腸冊子縁膜に存在する膜タンパク質、糖脂質などの複合生体萬分子との特異的な相互作用を明らかにするために、上記乳タンパク質に対する冊子縁膜上のリガンドあるいは受容体分子を探索・同定することを目的とした。 ヒトの乳汁と小腸冊子縁膜のモデルとして、マウス乳汁と小腸冊子縁膜およびラット小腸冊子縁膜を用いて研究を進めた。今年度は、まずマウスおよびラット乳脂肪球皮膜の調製を行った。泌乳期のマウスをネンブタール麻酔し、オキシトシンで乳汁の分泌を促進した後、搾乳した。採取した乳汁から、クリーム画分を分離した後、遠心分離と超音波処理を用いて脂肪球皮膜を調製した。調製した乳脂肪球皮膜標品に含まれるタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析し、カゼインや乳清タンパク質の夾雑がない高純度の皮膜標品が得られたことを確認した。 次に、マウスおよびラット小腸上皮冊子縁膜の調製を行った。小腸上皮冊子縁膜は、哺乳期および離乳後のマウスおまびラット小腸より、2価陽イオンによる基底側膜小胞の選択的凝集を利用した遠心分離法を用いて調製した。得られた標品について、マーカー酵素であるアルカリホスファターゼ活性を測定し、冊子縁膜小胞が濃縮されていることを確認した。現在、小腸冊子縁膜を可溶化し、電気泳動・リガンドブロット解析によって乳脂肪球皮膜との相互作用を解析している。
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[Publications] Oubihi,M.et al.: "Development of an enzyme-linked immunosorbent assay-based method for measuring galacto syltrom sferase activity using a synthetic glycopolymer acceptor substrate" Analytical Biochemistry. 257. 169-175 (1998)
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[Publications] Sato,T.et al.: "Differential effect of α-lactalbumin on B-1,4 galactosyl transferase TV activities" Biochemical Biophysycal Research Communications. 244. 637-641 (1998)