1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規酵母M111菌体を用いた難脱水性食品廃棄物の脱水促進機構に関する研究
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10660124
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉井 英文 鳥取大学, 工学部, 助教授 (60174885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 武 鳥取大学, 工学部, 教授 (10026164)
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Keywords | 圧搾脱水 / セルロース / 凝集 / 表層蛋白質 / 焼酎蒸留廃液 |
Research Abstract |
各種食品廃棄物はセルロース繊維を多く含むことにより保水性が高く、その脱水操作は非常に難しい。家藤らは、セルロース系固形廃棄物に対して凝集性を有するGeotrichum属酵M111株を焼酎蒸留廃液の脱水促進剤として検討した。本研究では、細胞外壁分子認識素子蛋白質の固液分離プロセスへの応用のための工学的基礎研究として、M111菌体のセルロース吸着能の特質と芋焼酎蒸留廃液のM111菌体の脱水促進機構について検討した。セルロース凝集活性は、種々の濃度に調整したセルロース溶液0.9mlとM111菌体懸濁液0.1mlをミクロチューブに加え、ボルテックスミキサーで攪拌後一定温度に静置し、30分後の凝集部の高さを測定した。 セルロース凝集活性は、セルロースでpH4〜5、ジェチルアミノエチル修飾セルロースでpH8〜9に至適pHが存在し、カルボキシメチル基修飾セルロースは殆ど吸着しなかった。セルロース凝集活性の温度依存性は、50℃で数時間も加熱処理した菌体溶液の凝集活性は殆ど低下しなかった。60℃以上では、菌体の温度では凝集活性の低下が確認され、70℃では200minまでに完全に失活した。このときの失活が1次反応で表されるとした場合の1次失活活性化エネルギーは、213kJ/molであった。セルロース凝集活性は、ドリゼラーゼ、プロテアーゼ処理により消失した。セルロース凝集活性の至適pHは、pH4〜5、至適温度50℃で以下であり、セルロースに吸着するセルラーゼ(Trjchoderma reeseiのエンドグルカナーゼ)と同じ範囲にあり、M111株にもセルラーゼと同様セルロース吸着能を持つ表層蛋白質があると推定される。M111菌体へのセルロース吸着結合定数は、凝集高さより求めた場合0.3wt%であった。表面プラズモンバイオセンサーを用いて測定した場合は、0.07wt%であった。セルロース凝集活性は、Span40,SDSを0.1wt%添加することにより完全に阻害された。 M111菌体を芋焼酎蒸留廃液の脱水促進剤として利用し、この脱水機構について検討した。芋焼酎蒸留廃液の脱水機構は、線形粘弾性圧搾モデルにより表すことができた。菌体を添加した場合、圧搾モデルのセルロース空隙間の水を脱水するときの圧搾定数が菌体添加のない場合に比較しておおきくなり、菌体添加のより芋焼酎蒸留廃液のセルロース空隙を広げることにより脱水が促進されたと考えられた。
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Research Products
(1 results)